お気に入りの推理作家、トニー・ケンリックのユーモア推理小説です。 ずっと以前に読みましたが、長らく絶版になっていたものが復刊されたので文庫本を買って再読しました。
リリアンを始めとするユニークで立ったキャラ、凝ったプロット、ユーモアとペーソス、スリル、アクションと、どれも水準以上のデキです。 惜しむらくは物語の後半でリリアンの活躍場面が減ってしまうことで、バイタリティあふれる彼女の活躍をもっと見たい気がします。
内容的にハリウッド向きのエンターテイメント作品なので、映画化すれば面白いものができると思うんですが、なぜか映画化されていないようです。 リリアン役として、子役の頃のジョディ・フォスターかテイタム・オニールあたりで映画化して欲しかったですねぇ。
太古の昔に絶滅してしまったはずの恐竜が現在も生き延びていて、人間の皮をかぶって人間になりすまし、密かに人類と共存しているという設定で、マーロウばりのこわもて恐竜私立探偵が活躍するとんでもないハードボイルド探偵小説です。
あまりにも突飛な設定からして物珍しさ狙いのキワモノと思うとこれがさにあらず、プロットもトリックもキャラクターもよく練られていて、泣かせるほど上質で完成度の高いハードボイルドになっています。 普通なら、平井和正のウルフガイシリーズのようにハードボイルド風のSFにするところを、あくまでもハードボイルドタッチを貫いて本格的な探偵小説に仕上げた作者の力技には脱帽です。m(..)m
探偵小説好きでSF好き、その上マンガも大好きな僕向きの、本当にあつらえてもらったような作品です。v(^_-)