玄関会議室

会議室

この会議室はパソコン通信と同様のオンライン掲示板です。 どんな話題でもかまわないので気軽にじゃんじゃん書き込んでください。

[書き込み削除]

1809 番の書き込みのパスワードを入力してちょ!


1809. Re[1808]:有病率の信頼区間について 投稿者:杉本典夫 [URL] 投稿日:2019/08/16 (Fri) 12:16:37
>マーシー様
>>母比率の推定として計算するのと、有病率の数値の母平均の推定として計算するのでは、結果は異なるのでしょうか?
 これらは用語の違いであり、結果的には同じになります。
 「統計学の基礎」の「3.3 差と比の使い分け」の最後に書いたように、比(ratio)と割合(proportion)と率(rate)はそれぞれ定義が異なる別物です。そして日本語では、これら3種類のものを全て「比率」というまぎわらしい用語で呼ぶことがあります。ご紹介いただいたyoutube動画は、これらのまぎわらしい用語を用いた典型的な「まぎわらしい統計学解説」です。(^_^;)
 有病率は「分子が分母に含まれる分数」ですから、「疾患の割合」になり「率」ではありません。しかし「割合」という用語は研究現場では馴染みが薄いので、僕は致し方なく「有病率」をそのまま用い、一般化する時は「出現率」という用語を用いることにしています。ご紹介いただいたyoutube動画では、これを「比率」という用語で説明しています。「比率」は本来は「割合」であり、主として社会統計学や心理統計学で用いられる用語です。
 統計学で出現率を求める時、分母は誤差のない定数n(緑内障の場合は調査した標本集団の例数n)を用い、分子は誤差のある変数x(緑内障の場合は標本集団中の緑内障患者の例数x)を用います。この時、分子の変数xは二項分布をします。そのため出現率p=x/nも二項分布をします。
 ベルヌーイ分布は1回のベルヌーイ試行(試行結果が0:失敗/1:成功の2種類であり、成功率pが一定という試行)について定義される離散分布であり、これをn回繰り返したものが二項分布になります。このことは、ご紹介いただいたyoutube動画を始めとして、統計学解説書でも混乱して解説されているものがけっこうあります。
 二項分布は、分母の例数nが大きくなると、中心極限定理によって平均nπ、分散nπ(1-π)の正規分布で近似できます(π:母出現率、通常は標本集団の出現率pで推定します)。この近似正規分布を利用して、母出現率πの95%信頼区間を求めることができます。
 youtube動画では「ベルヌーイ分布は例数が多くなると正規分布で近似できる」と解説しています。これは、ベルヌーイ試行を1回行った時はベルヌーイ分布になり、試行を何度も繰り返すと二項分布になり、その二項分布が近似的に正規分布する、ということを混乱して――はっきり言って間違って(^^;)――説明したものです。

 比と割合と率の違いと出現率の信頼区間については、当館の次のページを参考にしてください。
○玄関>雑学の部屋>雑学コーナー>統計学入門
→2.4 差と比とパーセントの使い分け (注1)
http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat02/stat0204.html#note01
→3.2 1標本の計数値 (2) 名義尺度(分類データ)
http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat03/stat0302_2.html
 以上、参考になれば幸いです。