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1816.
感染症数理モデル-4
投稿者:
杉本典夫
[
URL
] 投稿日:2020/04/14 (Tue) 17:37:40
SIRモデルにおいて、S区画の最初の人数を1とすると、このモデルは割合または確率モデルになり、どんな人数の閉鎖集団についても当てはまる、一般的なモデルになります。そして最初の感染者が閉鎖集団に侵入または発生した時をt=0とすると、S(0)=1、I(0)=I0(初期感染者率、0<I0≪1)、R(0)=0になります。
この一般化したSIRモデルでは、感染の初期はS(t)≒1のため、I区画の微分方程式は次のように近似できます。
vi=dI(t)/dt=β・S(t)・I(t)-γ・I(t)≒β・I(t)-γ・I(t)=(β-γ)I(t)
この近似微分方程式の解は指数関数になり、次のような性質があります。
・I(t)≒I0・exp{(β-γ)t}
(β-γ)>0の時:I(t)は指数関数的に増加
(β-γ)=0の時:I(t)はI0のまま一定
(β-γ)<0の時:I(t)は指数関数的に減少
つまりI(t)はβとγの大小関係によって、指数関数的に増加したり、指数関数的に減少したりと、対照的な挙動をします。このような現象のことを、閾値現象(threshold phenomena)といいます
閉鎖集団における感染の初期段階では、「(β-γ)>0」つまり「β>γ」の時、I(t)が指数関数的に増加し、感染症が流行し始めます。I(t)は指数関数的に増加するので、最初のうちは流行に気が付きませんが、次第に加速していき、ある時、突然――と、普通の人には思えます(^^;)――急激に増加して大流行します。この段階のことを、「爆発的患者急増(overshoot)」といいます。
この爆発的患者急増段階の前に、何らかの感染予報対策を実施し、(β-γ)<0にすることができれば、I(t)は指数関数的に減少し、流行は終息します。(β-γ)<0にするためには、例えば次のような対策が考えられます。
・β(単位時間あたりの感染率)を小さくする → 人と人が接触する機会を減らす
・γ(単位時間あたりの隔離率)を大きくする → 感染者を素早く見つけ出し、素早く隔離する
この様子は、厚労省対策推進本部クラスター対策班の押谷仁先生が作成された、「COVID-19への対策の概念」の中の、次の図「接触を避けることによる流行拡大防止効果」を見るとわかりやすいと思います。(^_-)