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1846. 「魔女・産婆・看護婦 女性医療家の歴史」 投稿者:杉本典夫 [URL] 投稿日:2021/06/12 (Sat) 17:29:41
・「魔女・産婆・看護婦 女性医療家の歴史(Witches, Midwives, and Nurses)」バーバラ・エーレンライク/ディアドリー・イングリッシュ共著/長瀬久子訳、法政大学出版局、1996年
 1970年代のアメリカでパンフレットとして出版され、フェミニズムの古典となった「魔女・産婆・看護婦」と「女のやまい」を収めた初版に、その後の社会変化を解説した序文を加え、訳文も全面的に改めた増補改訂版です!(^o^)/
 洋の東西を問わず、太古から医療は女性の役目であり、女性の生得権であり、女性の世襲財産の一部でした。ところが西欧では、中世に男性権力者(王侯とキリスト教会)がそれを奪い取り、男性中心の社会構造を作るために組織的に行ったものが魔女狩りであり、火炙りにされた魔女の大半は女性医療家――主に産婆でした。
 そして女性医療者は主に農民階級の人達を治療していて、王侯や教会に反発する農民階級の人達の自治&反乱組織と深い関係がありました。つまり魔女狩りは、支配者階級にとって脅威であるそれらの組織活動を潰すためのテロ活動でもあったのです。
 ところが、本来、医療行為には女性の方が適していて、男性ではうまく処理できない事が多々あります。そこで診断・治療・看護という医療行為のうち、男性医師は診断と治療(または治療方針の立案)だけを行い、治療の補助と、最も手間がかかる看護は、奉仕を自らの使命と考え、忍耐強く、どんな大変な汚れ仕事でも喜んで行う滅私奉公型の医療労働者――看護婦に押し付けました。
 そして医療行為の手柄と報酬は男性医師が独り占めし、看護婦は手柄と報酬を主張する権利もなく、召使いとほとんど変わらない待遇になったのです。
 若かりし頃、仕事の都合で医療分野に首を突っ込むようになって、一番驚いたのは、大学医学部の教授を頂点にして、医師・看護師・薬剤師・コメディカル等によって形成された専制君主型ヒエラルヒー社会の時代錯誤的な封建性でした。(そのヒエラルヒー社会の床下――決して「縁の下(の力持ち)」ではない!――でゴーレムのように蠢いていたのが、製薬業界の人達でした。(;_;))
 本書を読んで、そんな専制君主型ヒエラルヒー社会が形成された歴史的背景がよくわかりました。
 筆者達は本書の最後を次のような趣旨の文章で結んでいます。
「女性を抑圧しているのは生物学的な要素ではなく、性と階級に基づく社会制度だという事実を理解することが重要である。
そしてその理解に基づいて、社会的な選択肢を女性が管理する権利、現在そうした選択肢を決定している社会制度を管理する権利を求めて行動することが大切である」
 フェミニズムや医療分野における性差別の歴史に興味のある人に、本書を強くお薦めします!v(^_-)