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1872. Re[1871]:期待値と確率について 投稿者:杉本典夫 [URL] 投稿日:2022/10/30 (Sun) 10:20:46
>上条あかね様
>> この「100回実施したとき、95回程度」を読む度に「"95回程度"って何?」「何回から何回までが "95回程度" なの?」となる訳です.
>> こうした表現は信頼区間に限らず連続分布の一般向けの説明に用いられているようですが,
>> 少なくとも信頼区間の話をする段階では二項分布の期待値は知っている筈なのに,何故そのように述べないのか?と...
ここが誤解の元なのでしょうね。('')(..)('')(..)
ネイマン・ピアソン統計学は結果の確率に基づいた統計学です。そして結果の確率は大数の法則に基づいた頻度論的な確率です。つまり試行回数を限りなく増やした時の事象の頻度の極限値を、その事象の確率と定義する考え方です。したがって「100回実施した時95回程度」という表現は、あくまでも抽象的な頻度論的確率を具体的にわかりすく説明するための例にすぎません。
ネイマン・ピアソン統計学では、95%信頼区間は「母平均が入っている信頼区間を得る頻度論的確率が95%である」と解釈します。これは標本集団を無作為抽出して信頼区間を求めるという操作を無限回繰り返した時の解釈ですから、100回繰り返した時は「100回中95回程度入っている」と近似的に言うしかないのです。したがって厳密に言うと成功回数はB(100,0.95)には従わず、100→∞にした時のt分布に従い、成功回数はt分布における0.05断点以内の積分値0.95つまり成功確率0.95になります。
そもそも二項分布B(n, 0.5)についてn→∞にした時の連続分布が正規分布ですから、正規分布やt分布を対象にして理論の説明をしている時に、離散分布である二項分布の話題に戻り、頻度論的な確率を期待値にして理論を解釈しようとするのは――説明のための具体的かつ近似的な例え話なら良いと思いますが――あまり適切とは言えないと思いますよ。(^_^;)

ネイマン・ピアソン統計学派がこの解釈にこだわるのは、ベイズ統計学で用いる原因の確率、つまり情報不足に基づいた主観的な確率を統計学から排除することが、ネイマン・ピアソン統計学構築の目的のひとつだったからです。
これは、科学からアリストテレス的な主観を排除し、客観的な観測事実と批判的思考法(クリティカル・シンキング)に基づいて理論を構築することによって科学を構築しようという、統計学創成期の時代の流れに合わせたものです。

ちなみに、頻度論的な統計学については次のページが参考になると思います。(^_-)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%BB%E5%BA%A6%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%AD%A6