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No.1405 - 1454 / 50 件表示


1454. 「別離」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/05/15(水) 10:43:01
・「別離(Jodaeiye Nader Az Simin)」アスガー・ファルハディ監督、イラン、2011年
 前作「彼女が消えた浜辺」と同様に、舞台劇のような緻密な構成と濃密な心理的サスペンス溢れるアスガー・ファルハディ監督の秀作です。
 本作もテーマといいストーリーといい実に普遍的かつ現代的で、しかも出演している女優が美しくて凛々しいのが印象的です。そのため少なくとも僕に関する限り、前作と本作によってこれまでのイラン映画の印象を大きく変えられてしまいました。
 前作もそうであったように、アスガー・ファルハディ監督は心を逆なでするような心理描写が巧みで、しかも安易な解釈を拒むかのように多くの謎をあえて解決せずに残すので、観終わった後でカタルシスが得られず、何ともやり切れない思いが澱のように心に残ります。
 こういう作品はコアな映画マニアにはお勧めですが、普通のハリウッド映画好きにはお勧めしません。v(^^;)

  http://www.betsuri.com/

1453. ポアソン回帰分析第3節 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/05/11(土) 09:52:26
 当館の「統計学入門」にポアソン回帰分析の第3節をアップしました。(^o^)/
 これで予定していたポアソン回帰分析の説明は全てアップしました。ポアソン回帰分析は好きな手法ではないので、正直言ってリキがあまり入っていません。(^^ゞ

1452. ポアソン回帰分析第2節 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/05/07(火) 10:45:42
 当館の「統計学入門」にポアソン回帰分析の第2節をアップしました。(^o^)/
 本当は第1節と第2節を同時にアップしたかったんですが、諸般の事情で第2節が少し遅れてしまいました。2つの節を続けて読むと、ポアソン回帰分析の輪郭が何となくわかると思います。

1451. Re[1450]:[1449]:再びお力をお貸しください(TT) 投稿者:Hamohta 投稿日:2013/05/04(土) 10:06:52
>とものりさん

先生、いつも早いレスポンスを本当にありがとうございます!
元気が出てきましたp(^^)q
頑張って論文に仕上げていきたいと思います(これからが大変)。
 
また経過報告させていただきます!
 
Hamothta 拝
 


>>>Hamohtaさん
>> お久しぶりです!(^o^)/
>>
>>>>症例数に大きな差があることは、問題になるでしょうか?
>>>>メーカーから取り寄せた健常者データは、何と15000症例を超えており、
>>>>当方が用意した患者群の50症例弱とはひどく差があります。
>> 2群の症例数に大きな違いがあっても問題はありません。
>> ただし全体の例数が15050例あっても、患者群の50例が結果を大きく左右します。そのため、結果の信頼性は全体の例数が100例程度の試験と同じくらいになってしまいます。
>> でも100例あれば、結果の信頼性はかなり高いと言って良いと思いますよ。
>>
>>>>修正平均値の差の値自体は、それなりに意味のありそうな値なのですが、
>>>>これでは2群に明らかな差があるとは言えないのでしょうか?
>> 修正平均値の差に医学的な意義があれば、たとえ寄与率は小さくても意義があると言って良いと思います。
>> ただし現在の医学会では検定結果が偏重されていますので、検定結果が有意でないにもかかわらず「明らかな差がある」と結論すると、文句をつけられるでしょうね。
>> 修正群差の検定結果が有意で、修正平均値の差に医学的な意義があれば、「明らかな差がある」と結論しても良いと思います。
>>
>> 以上、参考になれば幸いです。

1450. Re[1449]:再びお力をお貸しください(TT) 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/05/04(土) 09:10:55
>Hamohtaさん
 お久しぶりです!(^o^)/

>>症例数に大きな差があることは、問題になるでしょうか?
>>メーカーから取り寄せた健常者データは、何と15000症例を超えており、
>>当方が用意した患者群の50症例弱とはひどく差があります。
 2群の症例数に大きな違いがあっても問題はありません。
 ただし全体の例数が15050例あっても、患者群の50例が結果を大きく左右します。そのため、結果の信頼性は全体の例数が100例程度の試験と同じくらいになってしまいます。
 でも100例あれば、結果の信頼性はかなり高いと言って良いと思いますよ。

>>修正平均値の差の値自体は、それなりに意味のありそうな値なのですが、
>>これでは2群に明らかな差があるとは言えないのでしょうか?
 修正平均値の差に医学的な意義があれば、たとえ寄与率は小さくても意義があると言って良いと思います。
 ただし現在の医学会では検定結果が偏重されていますので、検定結果が有意でないにもかかわらず「明らかな差がある」と結論すると、文句をつけられるでしょうね。
 修正群差の検定結果が有意で、修正平均値の差に医学的な意義があれば、「明らかな差がある」と結論しても良いと思います。

 以上、参考になれば幸いです。

1449. 再びお力をお貸しください(TT) 投稿者:Hamohta 投稿日:2013/05/03(金) 20:59:44
2月12日にこちらで質問させていただいた、脳外科医Hamohtaです。その節は大変ありがたいアドバイスをいただき、心から感謝いたしております。

先日の質問に書かせていただいたように、 
ある検査において、健常者群と患者群で差があるかどうかを引き続き調べています。
メーカーの協力もあり、何とか生データを取り寄せました!
そして、先生のテキストも購入し(^^)、共分散分析について勉強しました。

ここで質問なのですが・・・
症例数に大きな差があることは、問題になるでしょうか?
メーカーから取り寄せた健常者データは、何と15000症例を超えており、
当方が用意した患者群の50症例弱とはひどく差があります。
 
不安になりながらも、こちらのサイトを参考にしながらエクセルで根気よく
ANCOVA tableを作成しました。
それぞれの式の意味はあまり理解できていないのですが、何とか正しく計算
出来たと思います。

2群の回帰直線をグラフとして描いてみると、明らかに差がありそうですし、
交差もしていません。
共通回帰のF値=14401.9と異常に大きく(p=0になります)、
非平行性のF値=0.13942(p=0.708)でした。
共通回帰の寄与率は47%とまぁまぁな感じでした。
 
ところが・・・。
修正群差の寄与率が0.097%になってしまいました。。。

修正平均値の差の値自体は、それなりに意味のありそうな値なのですが、
これでは2群に明らかな差があるとは言えないのでしょうか?
 
症例数は、どんなに頑張って増やしても、焼け石に水ですし。。。。

先に進めなくなってしまい、また先生にすがりに来てしまいました。

一体、何が問題なのでしょうか。
解決方法はありますでしょうか。
ご多忙のところ、本当に申し訳ありませんが、お助けいただければ幸いです。
 
Hamohta拝

1448. ポアソン回帰分析 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/05/01(水) 10:06:40
 当館の「統計学入門」にポアソン回帰分析の第1節をアップしました。(^o^)/
 ポアソン回帰分析はあまり好きな手法ではありませんが、知り合いの医学研究者から依頼されて解説をアップすることにしました。某科学雑誌のreviwerの中に頑固な人がいて、この手法を用いないと論文をacceptしてくれそうもないが、手法の内容がよくわからないとのことでした。(^^;)
 ポアソン回帰分析は疫学分野で好んで用いられる手法で、ちょうど臨床分野で何でもかんでもロジスティック回帰分析を適用する傾向があるように、疫学分野では何でもかんでもこの手法を適用する傾向があります。
 データ解析屋から見るとどちらも困った傾向ですが、研究分野によって統計手法にも流行り廃りがありますから、手法の本質がもっと理解されるまでは”じっと我慢の子であった…!”p(T_T)

 ちなみに放射線と発がんの関係を調べた「寿命調査(LSS、(財)放射線影響研究所)」でも、この手法が用いられています。データ解析屋としては生存時間解析を用いて欲しいところですが、このデータは放影研疫学部の方が解析されているため致し方のないところかもしれません。(~.~)
 http://www.rerf.or.jp/library/rr_e/rr1104.pdf

1447. Re[1446]:ワンフレーズポリティクス 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/27(土) 17:43:14
>山本直樹先生
>>江戸時代の私達の御先祖様たちは営々と努力して豊かな郷を作りあげたようです。
>>上杉鷹山に学ぶ人間の顔をした改革> - (自治体)三重県プロ職員山路栄一の知的交流広場 より
 「人間の顔をした改革」というのはいい言葉ですね。人間は感情の動物ですから、ベースに思いやりとか人間性がないと、いくら理論的に優れた方策でも効果は薄くなってしまいますよね。
 「学校では習わない江戸時代」(山本博文、新潮文庫)によると、江戸時代の政策は飢饉とか災害(台風・地震・噴火・津波・火事等)が起こるたびに、その対策として色々な政策が行われ、国家として徐々に成熟していったそうです。
 初期の頃は保科正之や池田光政に代表されるように、領主には領民を救う義務があるという「仁政」という理念が中心で、民を救うための資金が足りなくなったら貨幣の改鋳と年貢の増徴で賄うという方式だったそうです。
 それが明暦の大火(1657年)や、宝永の大地震と富士山の大噴火(1707年)などの大災害を経験して、防災を考慮した江戸の町の再整備、災害復興費用を全国の大名から徴収する国役金賦課制度の実施、全国の幕領に災害対策用の囲米をする郷蔵政策といった国家規模の公共事業を行うようになり、近代的な国家らしくなっていったそうです。
 このように民衆の自助努力や互助組織だけでは対応し切れない未曾有の大災害に対して、藩や国家として救済措置を取り、防災事業を計画的に実施するという「公助」の理念が次第に広まっていったそうです。
 この自助・互助・公助の理念を「人間の顔をした改革」として実践した代表格が、上杉鷹山だったのでしょうね。

1446. ワンフレーズポリティクス 投稿者:山本直樹 [URL] 投稿日:2013/04/27(土) 15:15:22
杉本さん、先程はありがとうございました。
江戸時代の私達の御先祖様たちは営々と努力して豊かな郷を作りあげたようです。

上杉鷹山に学ぶ人間の顔をした改革> - (自治体)三重県プロ職員山路栄一の知的交流広場 より

世の中が湿っぽく、経済が思うように発展しないと、人々は、どうしても他人
を責めたり、状況のせいにしたりすることが多い。しかし、鷹山はそれを突破
した。鷹山の藩政改革が成功したのはすべて、「愛」であった。他人へのいた
わり・思いやりであった。藩政改革も、藩民のものと設定し、それを推進する
藩士に、限りない愛情を注いだ。痛みをおぼえなければならない人々への愛
を惜しまなかった。その優しさが、北風と太陽の例ではないが、人々に厚い
心の綿入れを脱がせた。それも自発的にである。綿入れを脱いで、身軽に
なった米沢藩の人々は、士といわず町民といわず農民といわず、鷹山の改革
に協力して勤しんだ。それは改革に協力することが、自らも富むことにつなが
っていたからである。
 そしてそれは、富むだけでなく、他人を愛する心を復活させた。鷹山が甦ら
せたのは、米沢の死んだ山と河と土だけではなかった。かれは、何よりも人間
の心に愛という心を甦らせた。それをのぞいては、どんなに立派な藩政改革も
決して成功はしない。鷹山の治績は、そのことを如実に物語っている。

http://plaza.rakuten.co.jp/prosyokuyamaji/6033/

1445. 「アイリス」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/25(木) 19:53:28
・「アイリス(Iris)」リチャード・エアー監督、イギリス/アメリカ、2001年
 イギリスの著名な作家&哲学者のアイリス・マードックと、彼女の夫で作家&文芸評論家のジョン・ヘイリーの夫婦愛を描いた作品で、ジョンがアイリスについて書いた本を映画化したものです。
 アルツハイマー病に侵されたアイリスをジョンが献身的に看病し、最後を看取るまでの日々をユーモアとペーソスを交えて淡々と描いています。ジョン役のジム・ブロードベントが実にいい味を出していて、年老いたアイリス役のジュディ・デンチは相変わらず素晴らしい存在感で、若き日のアイリス役のケイト・ウィンスレットは相変わらず脱ぎっぷりがいいです。(^^;)
 自分/カミさんのボケとか死別とかが人事ではなくなった今、こういった映画を見るとやっぱり身につまされるものがありますねぇ。(~.~)
 それにしてもこの作品や「愛、アムール」(ミヒャエル・ハネケ監督、フランス/ドイツ/オーストリア、2012年)のように、妻を献身的に介護する夫の話は感動的な話として称賛されるのに対して、夫を献身的に介護する妻の話は当たり前すぎて称賛されないというのは不公平な気がします。
 知らず知らずのうちに、「妻が夫を介護するのは当然だ」という固定観念に囚われてしまっているのでしょう。この作品と「愛、アムール」を続けざまに観て、大いに反省することしきりの今日この頃です。
 また2つの作品を観比べると、同じテーマを扱っていながら、観終わった時の感情が全く正反対なことに驚かされます。「ピアニスト」もそうでしたが、ミヒャエル・ハネケ監督は救いようがない物語を感傷を一切交えずに冷徹に描くので、観終わると救いようのない気分になって精神的に落ち込んでしまいます。(^^;)
 ちなみに、お気に入りのマンガ「ペコロスの母に会いに行く」(岡野雄一、西日本新聞社)が、TVドラマ化に続いて映画化されることになったようです。このマンガも「息子がボケた母親を介護する」ということで話題になっている作品です。(^_-)

 http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=3003
 http://www.ai-movie.jp/

1444. Re[1443]:ドイツレクイエム 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/23(火) 09:26:42
>山本直樹先生
>>ボストンマラソン、爆弾事件の犠牲者を悼む演奏会のvideo clipです。米国社会の良心を聴く思いが致します。曲は、ブラームスのドイツレクイエム。
 こういう時は、やっぱりドイツの作曲家のレクイエムが向いていますね。
 ただ過去に自主防災組織を立ち上げた僕としては、四川地方の大地震の詳細をもっと知りたい気がしています。同じアジアで起きた災害で、被害も大きく、しかも日本も同じ脅威に晒されているにもかかわらず、マスコミの扱いはボストン・マラソンの爆破事件よりもはるかに小さいというのが納得できません。
 僕が会員になっている公益法人やNPOが、早急に四川震災被害者救済の寄付金を募ると思いますので、それに協力するつもりです。
 ボストンの人達には申し訳ないですが(^^;)、救いの手をより必要としているのは四川地方の人達だと思うからです。

1443. ドイツレクイエム 投稿者:山本直樹 投稿日:2013/04/22(月) 21:45:23
ボストンマラソン、爆弾事件の犠牲者を悼む演奏会のvideo clipです。米国社会の良心を聴く思いが致します。曲は、ブラームスのドイツレクイエム。
http://webcast.mit.edu/i/institute/2012-2013/2013apr19/


1442. 宇宙エレベーター 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/21(日) 09:26:08
 昨日(4月20日)、名古屋市科学館で行われた科学技術週間記念講演会「エレベーターに乗って宇宙へ行こう!」を聴いてきました。(^o^)/
 宇宙エレベーターまたは軌道エレベーターは、地球の静止衛星と地上とを結ぶエレベーターのことで、ロケットよりも低コストで宇宙に行ける次世代の宇宙進出手段として注目されています。
 宇宙エレベーターのアイデアそのものは、”ロケットの父”コンスタンチン・ツィオルコフスキーが1895年に自著の中で発表していました。しかしエレベーターを支えるケーブルに鋼鉄の100倍以上の強度のものが必要ということから、これまでは夢物語と思われてきました。ところがカーボンナノチューブの発見(NEC筑波研究所・飯島澄男氏、1991年)によって実現可能性が高まり、研究プロジェクトが日本やアメリカなどで実際に始まっています。
 今回の講演会の講師は、その研究プロジェクトのメンバーである(株)大林組技術本部・主任技師の石川洋二氏で、宇宙エレベーターの構想を一般人向けにわかりやすく説明してくれました。
 若かりし頃に傑作SF小説「楽園の泉」(アーサー・C・クラーク、1979年)と「星ぼしに架ける橋」(チャールズ・シェフィールド、1979年)を読んで宇宙エレベーターのアイデアに興味を持った僕としては、実現したら是非とも乗ってみたいもんです。v(^_-)

  http://www.ncsm.city.nagoya.jp/visit/attraction/%E5%8B%9F%E9%9B%86%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7%28H25%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AB%E4%B9%97%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%93%E3%81%86%29.pdf

1441. キボード買い替え 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/19(金) 08:31:11
 昨日(4月18日)、パソコンのキーボードを買い換えました。(^o^)/
 キーボードを10年以上使ってきたせいで、キー上面の文字がかすれて読めなくなってしまったのです。(;_;) 一応、ブラインドタッチはできるものの、かな入力の時に少し打ちづらいので、思い切って新しいキーボードを買うことにしました。
 パソコンで作業する時、作業効率を一番大きく左右するのは人間とのインターフェイス部分、つまりモニターとキーボードとマウスです。そのためパソコンを自作する時は、CPUよりもモニターとキーボードとマウスに予算をかけることにしています。
 これまでのキーボードはOwltechのキーボードで、けっこう気に入ってました。今回はFILCO(ダイヤテック)のメカニカルキーボード(キーごとに独立したスイッチを持つもの、価格1万円前後)に「赤軸」という新機種があったので、それにしてみました。
 「赤軸」というのは、ドイツのZF Electronicsが販売しているCherryブランドのメカニカルキーボードに使われている、赤いスイッチ(軸)を採用した製品のことです。赤軸以外に黒軸、白軸、茶軸、青軸があり、それぞれキーの操作感が違います。
 赤軸を使ったのは今回が初めてですが、タッチが軽くて今のところ使い心地はよさそうです。v(^_-)

1440. Re[1439]:予防原則 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/17(水) 16:17:10
>山本直樹先生
>>杉本さんの言われることは予防原則ですね。
 その通りです。('')(..)('')(..)
 PL法とか薬事法は、本来はこの予防原則に基づいて制定されているはずです。でも実際にそれを適用する段になると、残念なことに裁判所はどうしても国や企業寄りになってしまいがちです。(~o~)
 公害や原発について考える時、僕は四日市公害訴訟の原告である野田之一氏の次のような言葉をいつも思い出します。

「日本が敗戦の混乱から高度経済成長に向けて突っ走り、強引に近道をしようとしたために無理が生じた。その無理が産み出したものが公害なのだ。
コンビナートで働く人達も、みんな日本のために良かれと思って必死に働いてきたのだから、コンビナートやそこで働く人達を憎いと思ったことはない。
ただ無理が何をもたらすかを知ってもらい、一度立ち止まって、それについてみんなで考えてもらうために我々は公害裁判を起こした。
コンビナートで働く人達が悪玉で、我々患者が善玉というわけでは決してないのだ」

 この野太くておおらかなヒューマニズムと予防原則が、公害や原発問題を考える鍵だと思います。
 現在の日本なら、企業が公害患者の救済に資金を提供しても、原発を10年間ほど停止してもそれほどひどい状態にはならないでしょう。この際みんなで立ち止まって、科学的な研究を進めると同時に、公害とか原発について冷静かつ客観的にじっくりと考えるべきだと思いますね。

1439. 予防原則 投稿者:山本直樹 投稿日:2013/04/17(水) 11:49:26
杉本さんの言われることは予防原則ですね。今では国際的な基準となっているようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%88%E9%98%B2%E5%8E%9F%E5%89%87
「予防原則(Vorsorgeprinzip)」の語は1970年代からドイツで使われ始めた。「予防措置(precautionary measure)」の語は、国際的には、オゾン層の保護のためのウィーン条約(1985)、モントリオール議定書(1987)などにあらわれている。EUでは1992年のマーストリヒト条約で環境政策上の基本原理として「予防原則(precautionary principle)」の概念が導入されたが、その具体的な定義はされていない。2002年の欧州食品法典(Regulation (EC) 178/2002)では、「公衆衛生上の決定を行う必要があるが当該リスクに関する科学的情報が不完全である場合に危険管理者に与えられたひとつの選択肢」と定義されている。

また、1992年の環境と開発に関する国際連合会議(UNCED)リオデジャネイロ宣言の第15原則には以下のようにまとめられた。

原則15 環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的取組を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない。

1438. Re[1437]:水俣病 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/17(水) 09:43:58
>山本直樹先生
>>私達は疫学・統計学に関する基礎知識を持つことが是非必要です。
 津田先生の意見書は、衛藤先生の意見書が疫学の基本的な部分で誤りを犯していることを指摘されていますね。これは非常にもっともなことです。
 公害のデータとか放射線の被害データのように、きちんと計画された臨床試験や臨床研究から得られたデータではない場合、因果関係を明確にするのは非常に困難です。
 「科学的」とは、得られたデータから結論を明確にすることではなく、「得られたデータから結論できる限界を明確にすること」です。そのため公害のデータなどから因果関係について”科学的に”明確な結論を得るのは非常に難しく、どうしても「現時点では明確な因果関係不明」ということになってしまいがちです。
 このような場合は、科学ではなく倫理に基づいた判断を優先すべきです。つまり端的に言えば、「疑わしきは罰する」のか「疑わしきは罰せず」なのかということです。そして現実の社会では、このような判断を迫られることが多いと思います。
 僕は、このような場合は「弱い立場の人の利益を優先する」というのが原則だと思っています。
 国や企業は社会的な立場が強く、資金も豊富に持っていますし、マスコミを利用して自分達に有利なプロパガンダをすることができます。それに対して個人の患者は社会的な立場が弱く、資金もなく、マスコミも利用できません。
 このような場合は、”科学的”よりも”倫理的”を優先して患者側に有利な判断をし、疑わしい患者は全て救うべきであり、その資金を被告企業から徴収すべきだと思います。その意味で、水俣病だけでなく四日市喘息についても、これまでの裁判所の判断には大いに不満です。
 正直に言えば、統計学者ではなくデータ解析屋の僕は、疑わしい患者を救うためなら、非科学的な結論を統計学で理論武装して”科学的”に見せかけることさえ厭わないつもりです。(^^;)

1437. 水俣病 投稿者:山本直樹 投稿日:2013/04/17(水) 08:20:04
私達は疫学・統計学に関する基礎知識を持つことが是非必要です。
http://www.okayama-u.ac.jp/user/envepi/dl/15_20120217.pdf
平成 19年 7月 7日岡山大学大学院環境学研究科・教授津田敏秀
水俣病である蓋然性の示し方について
曝露とその後に生じた症状の両方を揃えている患者でも、なぜすぐに曝露と症状の因果関係が認められないか?その理由は単純で、その曝露以外の要因が曝露しても、その症状が発症する可能性のあることが疑われるからだ。つまり曝露と症状を両方揃えた個人がその曝露以外の要因によって発症した確率(「あれなくてもこれあり」の蓋然性)があるからだ。この「あれなくてもこれあり」の蓋然性を、1から引いた残りの蓋然性(確率)が「あれなければこれなし」の蓋然性である。

1436. Re[1434]:イザベラ・バード 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/15(月) 10:49:47
>山本直樹先生
>>江戸時代のご先祖は乏しい資源を分かち合いながら当時として世界最高の文明社会を作っていたようです
 イザベラ・バード女史の話は、本で読んだりTVで見たりしたことがありますよ。ある番組の企画で、彼女のお孫さん(だと思いましたが(^^;))が彼女の足跡を辿る旅をしていました。
 イザベラ・バード女史の旅行記を読むと、最初のうちは日本人を野蛮人と思っていたのが、日本人の礼儀正しさや優しさを理解するにつれて、日本人の美徳に感心するようになる過程がよくわかりますね。
 彼女の旅行記や小泉八雲が明治初期の日本人について書いた文章を読むと、何となく面映いような気持ちになる一方、イザベラ・バードや小泉八雲の気持ちがよくわかる自分に複雑な気持ちを抱いてしまいます。
 欧米化した現代の日本人は、心情的には自分達のご先祖様よりも、イザベラ・バードや小泉八雲に近いのかもしれません。

1435. Re[1433]:尖閣諸島と大人の知恵 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/15(月) 10:22:24
>山本直樹先生
>>日本と台湾の間で漁業協定が結ばれた裏にはこんな知恵があったのですね。
 この漁業協定は、この海域の住民が、国家間の縄張り争いとは別に大昔から行なってきたことを明文化したものですよね。やっぱり、こういった大人の知恵を持った人がいるんですね。
 儲けを独り占めしようとする縄張り荒いや、”国家の威信”といった馬鹿げたメンツにこだわるのはヤクザか子供のやることで、物事を大局的見地から冷静に判断するのが大人の知恵というものでしょう。
 利益を独占したり、戦争を起こして戦争景気で利益を得ても、それは極一部の者が一時的に利益を得るだけで、結局のところは効率が悪いということは歴史が証明してますよね。皆で平和的に協力して、皆で負担と利益を分け合うことが、長い目で見れば一番効率的だということぐらいは、大人なら誰でもわかると思うんですけどねぇ。

1434. 江戸時代 投稿者:山本直樹 投稿日:2013/04/14(日) 11:45:38
明治11(1878)年に、東北地方から北海道、その後関西地方を日本人通訳一人を連れて旅したイギリスの女性旅行家イザベラ・バードは、奈良県の三輪で、3人の車夫から自分たちを伊勢の旅に雇って欲しいと頼まれた。

推薦状も持っていないし、人柄もわからないので断ると、一番年長の男が「私たちもお伊勢参りがしたいのです」と訴えた。この言葉にほだされて、体の弱そうな一人をのぞいて雇おうと言うと、この男は家族が多い上に貧乏だ、自分たちが彼の分まで頑張るからと懇請されて、とうとう3人とも雇うことになった。

「人力車夫が私に対してもおたがいに対しても、親切で礼儀正しいのは、私にとっても不断のよろこびの泉だった」と彼女は書きとどめている。
逝きし世の面影 渡辺京二より
江戸時代のご先祖は乏しい資源を分かち合いながら当時として世界最高の文明社会を作っていたようです

1433. 知恵 投稿者:山本直樹 投稿日:2013/04/14(日) 10:48:53
馬英九総統氏は尖閣を台湾領として主張しているが、合わせて、平和的解決
を主張してきた。

2012年9月7日「東シナ海平和イニシアチブ」推進綱領を発表した。

一、推進のステップ

「東シナ海平和イニシアチブ」の推進は、2段階に分ける。説明は以下の通り:

(一)平和の対話、互恵の協議

 この段階は、平和的な方法で東シナ海の争議を処理することを、より一層
推進拡大し、1つのルートおよび二重のルートによる対話ルートの確立を
推進し、関係各国が東シナ海の主要テーマについて、二国間あるいは多国間の
協議メカニズムを促し、相互信頼と共同利益の強化を図る。

(二)資源を分かち合い、共同で開発

 この段階は、各種の対話と協議の制度化を通して、関係各国による実質的な
協力計画の推進を促し、共同で資源開発のメカニズムを構築し、東シナ海を
範囲とする平和の協力網を形成する。

二、主要テーマ

(一)漁業:二国間と多国間の漁業会談および、その他の漁業協力交流を開き、
漁業協力と管理メカニズムを構築する。

(二)鉱業:台湾北部海域における共同調査測量を推進し、協力して開発
および管理するメカニズムを構築する。

(三)海洋科学研究と海洋環境保護:多国間による東シナ海関連の海洋と
生態研究計画を実行する。

(四)海上の安全と非伝統的安全:二国間および多国間による法律執行機関の
交流および海難救助の協力を推進し、海上安全および海上犯罪取締りの
協力メカニズムを構築する。

(五)東シナ海行動準則:1つのルートおよび二重ルートによる
対話メカニズムの推進を図り、争議を平和的に解決するメカニズムを話し合う。
相互信頼を強化し、関係各国による「東シナ海行動準則」の調印を促す。
日本と台湾の間で漁業協定が結ばれた裏にはこんな知恵があったのですね。杉本さんの言っている通りですね。

1432. 統計学セミナー終了 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/13(土) 10:59:47
 4月11日と12日に、東京で情報機構主催の統計学セミナーをしてきました!(^o^)/

・一番受けた話:「2001年・宇宙の旅」のコンピュータHALは、「IBM」を1文字前にしてもじったもの。v(^_-)
・一番受けなかった話:釣鐘の中には殺された女性の死体が入っていることがある。(横溝正史を知らない世代が増えたのだ(;_;))

 今回は業界人が多かったせいか、

「非劣性検定は、効果のない薬剤を新薬として許可を受けるために薬業界が考えたけしからんトリックなので、撲滅しないとイカン!p('o')」

というやたらとマニアックな話が意外と受けました。(^_-)
 また、

「”科学的”とは、得られたデータに基づいて結論を明確にすることではなく、得られたデータに基づいて結論できる限界を明確にすることである。だから、たかだか数千年分のデータしかない日本列島の地震データに基づいて、数十万年におよぶ日本列島の造山活動の未来を予測し、”原発は絶対安全だ!”などと断言するのは非科学的な妄想である」

という話も意外と受けました。(^_-)

1431. Linuxのバージョンアップ 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/09(火) 13:30:31
 本日(4月9日)、半年に一度の恒例行事、Linuxのバージョンアップが終わりました。(^o^)/
 今回はデスクトップPCと出張用のノートPCはスムーズにバージョンアップできましたが、バックアップ用デスクトップPCがバージョンアップできずに苦労しました。
 結局、バックアップ用PCのバージョンアップは諦めて、旧バージョンのまま使うことにしました。バックアップ用PCは、大昔の会社勤め時代に使い古しの部品を寄せ集めてでっち上げた自作マシンなので、サポートされなくなったのかもしれません。(~.~)
 Linuxは「フリー(無料!(^_-))・オープンソース・マルチプラットフォーム」と三拍子揃ったOSなので、マニア心を刺激してくれます。ただバージョンアップのたびに、日本語変換ソフトの仕様がコロコロ変わるところが唯一の不満です。何しろバージョンアップのたびに日本語変換ソフトのON/OFFをコントロールするキーが変わってしまうので、やたらと戸惑います。(~o~)
 オープンソースですから日本語変換ソフトを自作することも可能ですが、さすがにそこまでマニアックになるつもりはありません。とりあえず、暫くの間は日本語変換のたびに無意識に[半角/全角]キーを打つクセと格闘することになりそうです。(^^;)

1430. アクセス数急増と急減 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/07(日) 15:26:11
 ここ数日間、何故か当館のアクセス数が急増しました。いつもは20〜30アクセス/日程度のところを、4月1日は何と498アクセスもありました!w('o')w 日にちが日にちだけにエイプリルフールかと思いましたが(^^;)、どうやら本当のことらしいです。
 アクセス記録を調べたところ、何故か「統計学入門」にアクセスが集中しています。どうやら、今、巷で話題の「統計学が最強の学問である」(西内啓、ダイヤモンド社)の影響のようです。数年前、「その数学が戦略を決める」(イアン・エアーズ、文藝春秋)という本が流行った時も、「統計学入門」のアクセス数が一時的に急増したことがあります。
 巷でこういう”新勧本(模範演技をしながらいいところばかりを紹介し、練習の厳しさとか上達の難しさはあえて紹介しない、サークルの新入生勧誘活動のような本(^^;))”が流行ると、一時的に僕の「統計学入門」のアクセスが急増し、あっという間に元に戻る現象が観察されます。
 ”新勧本”やマスコミ人気につられてやってきた人は、統計学のように非常にマニアックで濃いものはやっぱり馴染まないのでしょう。そんなとっつきにくさが、マニア心をくすぐるのですよ。v(^_-)

1429. 「display - tag」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/04/03(水) 10:27:17
・「display - tag」山田詩音/福島佑貴/田中翔/綛田隼世/畑尾佐助/加藤さき共同製作、日本、2012年
 金沢美術工芸大学・視覚デザイン専攻の三年生6名によるショートフィルムです。(5分42秒)
 何となくスマホ世代のセンスを感じさせる、洒落た作品です。アイデア勝ちといったところでしょうか。(^_-)

  http://www.youtube.com/watch?v=VuIm6eKQ_H4

1428. 「A LIFE IN A DAY」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/31(日) 10:47:23
・「A LIFE IN A DAY」TARA CABULLO/JOLLY FELICIANO監督、フィリピン、2012年
 実写とアニメを組み合わせた、メルヘンタッチの心温まるショートフィルムです。(8分44秒)
 「クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!大人帝国の逆襲」(原恵一監督、2001年)の有名なワンシーンを始めとして、よくあるストーリーと手法ですが、センスの良さと子供の愛らしさについついホロリとさせられます。
 アニメファンとショートフィルムファン、そしてアジア映画ファンにお勧めです。(^_-)

  http://www.youtube.com/watch?v=DNc7YTAW5Zg&feature=plcp

1427. 「ものすごくうるさくて ありえないほど近い」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/28(木) 10:24:44
・「ものすごくうるさくて ありえないほど近い(EXTREMELY LOUD & INCREDIBLY CLOSE)」スティーブン・ダルドリー監督、アメリカ、2011年
 4月2日の世界自閉症啓発デーに関連したイベントの一環として、「ものすごくうるさくて ありえないほど近い(EXTREMELY LOUD & INCREDIBLY CLOSE)」の上映会をしていたので観てきました。(^o^)/
 この映画はジョナサン・サフラン・フォアの同名小説をスティーブン・ダルドリー監督が映画化したもので、ミステリーのようにスリリングな感動作です。主催者の話では、主人公の少年がアスペルガー症候群に近いことが暗示されているため、世界自閉症啓発デーに合わせて上映会が行われたとのことです。
 ダルドリー監督は、「めぐりあう時間たち」(2002年)のように大人を主人公にした作品よりも、本作とか「リトル・ダンサー」(2000年)のように少年を主人公にした作品の方がやっぱり巧いですね。
 それから名優マックス・フォン・シドーが、さすがに”ものすごく巧くて、ありえないほどの存在感”でした。(^_-)

  http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

1426. 防災・減災と私達の生き方−蛇足(^^;) 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/25(月) 12:28:48
 太平洋プレートの沈み込みによる造山運動で作られた日本列島が、地震と火山噴火の巣窟であるのは宿命であり、さらにユーラシア大陸の縁にあるということから、台風の通り道になっているのも本当に痛い宿命です。(~o~)
 そんな世界有数の狭くて危険な土地に、1億3千万人という世界一の人口密度で人間が暮らしているのですから、人命を尊重するつもりなら、自然災害に対する備えを最優先した生き方をしなければならないのは当然のことです。
 政府もマスコミも報道しませんが、実は今回の東日本大震災は、地震の規模(M9.0、関東大震災M7.9の13倍、阪神淡路大震災M7.3の50倍)に対して、被害(死者2.1万人、関東大震災の死者10万人、阪神淡路大震災の死者0.6万人)は驚くほど少ないのです。これは東北地方が昔から何度も大地震に襲われ、明治以後だけでも4度も津波に襲われた結果、多くの教訓や言い伝えが残され、地元の人達の防災意識が高かったからです。
 特に岩手県などは、地元の自治会を中心にした自主防災組織が、定期的に防災訓練と防災勉強会を行なってきた結果、死者2.2万人を出した明治三陸地震(1896年)と比較して、今回の東日本大震災は死者の数が3分の1に減ったのです。
 今回の公開講演会では、福和先生の基調講演の前に、名古屋学院大学の学生さん達が東日本大震災ボランティアとして活動した報告をしました。この事自体は、「困った時はお互い様」という日本古来の精神にそった素晴らしいことです。
 でも動機が「困っている人を助けたい」とか、「可哀想だから力になりたい」ということだけに、どのようにすれば人助けができるかとか、このようにして力になることができたという報告ばかりで、あの未曾有の大震災を生き延びた人達から、その知恵と工夫を教えてもらって、未来のための教訓にしたいという視点が、残念なことに少々欠けていた気がします。
 そのためボランティアに参加した学生さん達の中で、自宅や下宿の家具類の転倒・落下防止対策を行っている人や、数日分の食料と飲料水を備蓄している人は、残念ながらほとんどいませんでした。(^^;)
 感情に訴えやすいボランティア活動のことは、マスコミも積極的に取り上げ、実際に参加する人も、活動報告会等に参加する人もけっこう沢山います。しかし自主防災組織の防災活動といった地味な−−しかし本当は大切な−−活動は、マスコミはほとんど取り上げませんし、そういった活動や防災講演会等に参加する人も、残念ながら少数派です。
 また家具類の転倒・落下防止対策の重要性や、緊急時に机の下に隠れることの大切さを報道しておきながら、地震発生時のTV局の様子を見ればわかるとおり、マスコミは家具類の転倒・落下防止対策は全く行なっていませんし、机の下に隠れる人はひとりもいません。(^^;)
 「人の振り見て我が振り直せ」という昔からの格言がありますが、無意識のうちに「自分だけは被害にあわない」と考えがちであり、人の事を我が事として考え、自分の足元を見つめ直し、未来への教訓として活かそうというのは、本当に想像力を必要とする難しいことだと、つくづく感じた公開講演会でした。

1425. 防災・減災と私達の生き方−補足 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/24(日) 21:43:28
 今回の公開講演会「防災・減災と私達の生き方」を聴いて、印象に残ったことを書いておきますね。(^_-)

・東京スカイツリーは元禄関東地震、安政江戸地震、関東大地震で揺れが大きかった隅田川沿いの住宅密集地に建てられていて、そこは昔は湿地帯だった!
(そのため地面からの高さだけでなく、危険度も”世界一高い(^^;)”デジタルタワーでしょう)

・日本に鉄道ができた時、蒸気機関車の煙と音が迷惑なので、高台の住宅地を避けて、人が住んでいない海岸近くの低い土地に線路を引き、駅を作った。そのため現在でも鉄道は低い土地を通り、駅は地盤の悪い土地に建っている。
 ところが現在ではその歴史が忘れ去られ、交通の便が良いからと駅の近くに住宅が密集し、人が集まる繁華街ができている。防災・減災という観点から見ると、これは非常に危険な状態である。
(このような歴史的理由から、日本の鉄道は地震や台風などの自然災害の被害を受けやすい。自然災害による人的被害、物的被害、ダイヤの乱れなども計算に入れれば、おそらく世界有数の”正確で安全な鉄道”とは言えなくなるでしょう。(^^;))

・名古屋の町が清洲越し(1610年)で現在の場所(名古屋台地)に引っ越したのは、清州が水害に弱い土地だったからであり、直接的なきっかけは、1605年の慶長地震による津波被害だった。

・関東大震災で国家予算の4割という莫大な被害を受けた結果、日本は満州に侵略せざるを得なくなり、満州事変を起こして太平洋戦争へと突入していき、最終的には敗戦によって関東大震災の10倍以上の被害を出してしまった。

・江戸末期には出羽・越後・佐渡地震、十勝沖地震、善光寺地震、宮城県沖地震、小田原地震、伊賀上野地震、安政東海・南海地震、豊予海峡地震、陸前地震、安政江戸地震、安政三陸沖地震、伊予安芸地震、飛騨地震といった地震が頻発し、その災害から立ち直ることができずに、江戸幕府が崩壊した。

 大昔から自然災害と戦ってきた日本古来の知恵や技術を”時代遅れ”と切り捨て、地震や津波の被害を受けたことのない欧米の知恵や技術を”先進的”と崇拝して真似をした結果、現在の日本は自然災害に対して非常に弱い国になってしまっています。
 それを象徴する出来事が関東大震災であり、阪神淡路大震災であり、今回の東日本大震災です。この教訓を未来に生かさなければ、僕等は昔の人に顔向けできず、未来の人にも申し訳ないでしょう。
 「備えあれば憂いなし」、「困った時はお互い様」、そして「もったいない」と「足るを知る」という昔からの格言を、あらためて「私達の生き方」の指標にしなければならない気がします。

1424. 防災・減災と私達の生き方 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/23(土) 22:08:47
 今日(3月23日)は、名古屋学院大学で開催された公開講演会「防災・減災と私達の生き方」に参加してきました。基調講演をされたのは、現在、”日本で一番多忙な防災研究者(^^;)”として有名な、名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫先生です。(^o^)/
 10年ほど前に、海部郡で地元の区長(自治会長兼町行政協力員)をしていた時、海部郡が東海地震の地震防災対策強化地域に指定され、自主防災組織を立ち上げる羽目になりました。そこで名古屋大学の防災研究者の方を講師とした町主催の防災講演会に参加したり、有志で定期的に防災勉強会をして福和先生の著書を読んだりしました。
 その結果、海部郡に住んでいる限りはどんな地震対策をしても無駄であり、日本に住んでいる限りは完璧な防災は不可能であるということがよくわかりました。そこで、とりあえず海部郡の自宅から名古屋の地盤が強固な地区の賃貸マンションに一時避難し、さらに近い将来には海外に避難しようと決心しました。p(+o+)
 そんな因縁浅からぬ(^^;)福和先生の講演会ですから、半分くらいは先生の著書等で知っていることでしたが、あらためて海外移住の決意を強くしました。
 福和先生は政府やマスコミが隠している都合の悪い事実や、我々日本人が無意識のうちに−−あるいは意識して−−目を逸らしている都合の悪い事実を、はっきりと目の前に突きつけてくれます。東日本大震災の教訓を忘れて、またしても経済優先主義に戻ろうとしている現在、福和先生の講演会を聴いたり、著書を読んだりすることを強くお薦めしたいと思います。
 ちなみに、東京オリンピック誘致のためのIOC評価委員会メンバーが帰国した直後という絶妙のタイミングに、政府が南海トラフ巨大地震の被害想定を発表したことに、何となく胡散臭いものを感じていましたが、それが思った通りの意図からであることを、今回の講演会で確認することができました。
 福和先生の話では、本当の被害想定はもっともっと大きいのですが、例によって”高度な政治的判断(^^;)”であの程度の想定発表になってしまったそうです。
 福和先生は、相当怒ってましたよ。凸(-"-)

 もひとつちなみに、今回の講演会で、百人一首の中の次の2首が、869年の陸奥国大地震(貞観地震)の時の津波の教訓を詠んだものであることを知りました。

  契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは(42 番歌 後拾遺和歌集 清原元輔)

  わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし(92 番歌 千載和歌集 二条院讃岐)

 これらの歌に詠み込まれた教訓は、現地(郡山)に今でも言い伝えとして残っていて、今回の東日本大震災の時にも生かされたそうです。その教訓は実際に現地に行ってその土地を見ないとわかりませんが、昔の日本人の知恵と防災意識の高さにあらためて敬服です。m(__)m

1423. 「ニーチェの馬」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/21(木) 10:33:10
・「ニーチェの馬(The Turin Horse)」タル・ベーラ監督、ハンガリー/フランス/ドイツ、2011年
 ハンガリーの名匠タル・ベーラ監督が、自ら”最後の作品”と公言する作品です。トリノの広場で泣きながら馬の首にすがりつき、そのまま発狂したという哲学者ニーチェの伝説的な逸話に触発されて撮った作品だけに、ニーチェの思想を下敷きにしつつ、独自の哲学的思想を密度の濃い映像と緊密な演出で表現しています。
 ”観客を、娯楽しか求めていない子供のようなものと決めつけ、その観点から映画をファストフードのように作る”ハリウッド風映画を批評し、映画を芸術と考え、観客も知的であり、それぞれが人格を持っているので、作り手として常にベストを尽くして作品を作らねばならないと主張するベーラ監督らしい作品です。
 ワンシーン・ワンカットの緊張感溢れる長回しは、ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督を彷彿とさせ、メタファーと暗示に富んだ哲学的な深遠さは、ロシアの巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督を連想させます。
 また監督自らが”最後の作品”と公言する本作が、タルコフスキー監督の遺作「サクリファイス」(1986年)と同様に、キリスト教的な終末思想を色濃く反映した世界の破滅あるいは精神世界の破滅をテーマにしているのが印象的です。

  http://bitters.co.jp/uma/

1422. 家計消費状況調査 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/18(月) 09:51:36
 先日、総務省統計局から「家計消費状況調査」に協力しい欲しいという依頼のハガキが来て、その後、調査員が我が家を訪ねて来ました。(^o^)/
 これは、残念ながらデータ解析に協力して欲しいという仕事の依頼ではなく(^^;)、アンケート調査の回答者(パネル)になって欲しいという依頼でした。
 家計消費状況調査は「個人消費動向の更なる的確な把握に資するため、ICT関連の消費や購入頻度が少ない高額商品・サービスなどへの消費の実態を安定的に捉えることを目的とする(総務省・統計局公式サイトより)」調査だそうです。
 そして全国約5200万世帯(平成22年の国勢調査より)を約50世帯ごとの地域に区切り、それを地域別都市階級別に層別した上で3000の調査地域を抽出し、その中から無作為に10世帯を抽出して回答者になって欲しいと依頼したそうです。これは「層別2段無作為抽出法」という標本抽出法で、大規模なアンケート調査でよく用いられる方法です。
 この標本抽出法によって全国約5200万世帯の中から3万世帯が選ばれたのですから、

  3万世帯/5200万世帯=0.0005739231(約0.06%)=約1/1733

という小さな確率で、我が家が選ばれたことになります。
 こいつは春から縁起が良いのか悪いのかわかりませんが(^^;)、とりあえず稀な経験であることは確かでしょう。
 政府と政治家と役所と役人嫌いな僕は、政府と役所がやることには非暴力・不服従・非協力で対応することをモットーにしていますが、商売柄、この調査には協力することにしました。でも調査内容よりも、どうしてもアンケート調査の方法と、そのデータ解析処理法に興味を惹かれてしまいますね。(^_-)

  http://www.stat.go.jp/data/joukyou/

 ちなみに、アンケート調査では回答者のことを「パネル」といいます。これはパネルディスカッションやクイズなどで、回答者のことを「パネリスト」というのと同様の用語で、臨床試験における「被験者」に相当します。
 もひとつちなみに、パネリストのことを「パネラー」というのは和製英語です。(^^;)

1421. 日帰り入院 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/15(金) 18:25:55
 今日(3月15日)は、人生初の日帰り入院を体験してきました。(^o^)/
 検査入院というわけではなく、寺の病の手術です。(^^;) 寺の病の手術も進歩したもので、切除ではなく、注射で粘膜に癒着・固定させるという簡便な方法です。それでも一応手術ですから、1週間くらいは安静にした方が良いそうです。
 これで暫くの間は、カミさんの長く果てしない買い物に付き合わされ、重い荷物を持たされる使役生活からは解放されそうです。v(^^;)

1420. 「彼女が消えた浜辺」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/12(火) 19:09:56
・「彼女が消えた浜辺(Darebareye Elly)」アスガー・ファルハディ監督、イラン、2009年
 イランの新鋭・アスガー・ファルハディ監督の出世作であり、舞台劇のような緻密な構成と濃密な心理的サスペンス溢れる秀作です。アッバス・キアロスタミ、モフセン・マフマルバフ、マジッド・マジディ、バフマン・ゴバディといった優れた映画監督を輩出しているイラン映画界から、またしても注目すべき監督が登場しました。
 これまでのイラン映画は中近東的な世界観とエキゾチックな雰囲気が特徴でしたが、本作はテーマといいストーリーといい、例えば舞台が欧米でも日本でも全く違和感がないほど普遍的な感じです。
 そして何よりも登場する女性の美しさに驚かされ、”イランにも美しい女優がいる!w('o')w”という当たり前のことを再認識させられます。特に謎めいたヒロイン・エリを演じたタラネ・アリシュスティのチャーミングな笑顔にはすっかり参ってしまい、お気に入りの女優の一人になりました。(*^^*)

  http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=11150

1419. 「音のない3.11 被災地にろう者もいた」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/09(土) 21:14:42
・「音のない3.11 被災地にろう者もいた」今村彩子監督、日本、2013年
 今日(3月9日)はユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ)で、今村彩子監督の映画上映と講演会があったので行ってきました。これはユースクエアまるごとフェスティバルの一環として行われた、「架け橋 〜ボランティアと地域の絆・震災復興を通して〜」と題された特別講演会です。(^o^)/
 上映された作品はドキュメンタリー映画「音のない3.11 被災地にろう者もいた」です。これは今村監督が東日本大震災で被災したろう者を1年間取材し、災害時にろう者が直面する様々な問題を取り上げた良心的な作品です。
 ドキュメンタリー映画「珈琲とエンピツ」に感心し、舞台挨拶された今村監督のチャーミングさにすっかりまいってしまって今村ファンになった僕としては、今村監督の作品上映と講演会とくれば−−いくら若者を対象にした青少年交流イベントだといえども(^^;)−−参加しないわけにはいきません。今回の作品も講演会の内容も素晴らしくて、ますますファンになってしまいました。v(^_-)
 ただ残念なことに、「珈琲とエンピツ」の舞台挨拶の時は一緒に記念写真を取らせていただいたのに、今回は今村監督のスケジュールの関係で記念写真を取らせていただく時間がありませんでした。
 実に残念無念〜っ!p(ToT)

1418. e-Taxソフトを使った確定申告 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/07(木) 18:20:39
 本日(3月7日)、e-Taxソフトを使って確定申告を行いました。(^o^)/
 e-Taxソフトは、電子申告用に国税庁が提供しているフリーソフトです。これはめったやたらと不親切で使い勝手が悪い、極悪非道のソフト(^^;)です。
 昨年、国税庁の公式サイトにe-Taxに関するアンケートがあったので、このあたりのことについて文句と要望を書いたのに、相変わらず修正されていません。そのため、今年もまたe-Taxソフトの使い勝手の悪さに苦労させられました。
 もはや恒例になったボヤキですが、お金を取られる側が、わざわざお金を取られるためにこんな苦労をするなんて、実に馬鹿げた話です!凸(-"-)

1417. 統計入門セミナーと多変量解析セミナー 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/03/04(月) 20:50:21
 情報機構から依頼されて、4月にまた統計学入門セミナーと多変量解析セミナーの講師をすることになりました。(^o^)/
 参加料がやたらと高いのであまりお薦めしませんが(^^;)、もし参加してみたいという奇特な方がいたら、僕に連絡していただければ講師割引ができますよ。(^_-)

  http://www.johokiko.co.jp/seminar_medical/AA130435.php
  http://www.johokiko.co.jp/seminar_medical/AA130436.php

1416. 「元始、女性は太陽であった 平塚らいてうの世界」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/27(水) 21:06:28
・「元始、女性は太陽であった 平塚らいてうの世界」羽田澄子監督、日本、2001年
 今日(2月27日)は、ウィルあいちで開催中の「春一番映画祭り」でアンコール上映していた「平塚らいてうの世界」を観てきました。(^o^)/
 本作は、雑誌「青鞜」の創始者であり、女性解放と世界平和のために生きた、平塚らいてうの生涯を描いたドキュメンタリーです。監督は日本の女性映画監督の草分け羽田澄子氏で、まさに適任です。
 本作を見ると、平塚らいてうという女性が、いかに時代を超越した突き抜けた生き方をした人であったかよくわかります。彼女が明治時代ではなく現在に生きていたとしても、おそらく”翔んでる女性”と騒がれたことでしょう。
 平塚らいてうが、一宮市出身で名古屋新聞(現中日新聞)の記者をしていた市川房枝を見出し、社会運動の世界に引っ張りこんだように、市川房枝は、国際基督教大学で研究活動をしていた緒方貞子を見出し、国際政治の世界に引っ張り込みました。平塚らいてうと市川房枝と緒方貞子のファンである僕がこのことを知ったのは、3人のファンになった後のことでしたが、これを知った時は成る程と納得したものです。
 それから下世話な話ですが、「若いツバメ(年上の女性の愛人になっている若い男のこと)」という言葉が、平塚らいてうと、彼女のパートナーであった年下の青年画家、奥村博史の恋に由来することを本作で初めて知りました。w('o')w
 平塚らいてうのような強い女性は母性本能も強いのか、甲斐性のない若い男(市川房枝氏曰く「甲斐性なしの亭主!凸(-"-)」)に惹かれることが多いようです。ハタから見ると歯がゆくて仕方ないのですが、何となく納得できるような気もします。(^^;)

  http://www.jiyu-kobo.com/gensi.html

1415. 「クララ・シューマン 愛の協奏曲」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/23(土) 18:39:08
・「クララ・シューマン 愛の協奏曲(Geliebte Clara)」ヘルマ・サンダース・ブラームス監督、ドイツ/フランス/ハンガリー、2008年
 19世紀を代表する偉大な作曲家ロベルト・シューマンの妻であり、同じく偉大な作曲家ヨハネス・ブラームスのミューズであった、おそらく世界で一番有名なピアニスト、クララ・シューマンの半生を描いた作品です。
 クラシック音楽ファンなら誰でも知っている、クララをめぐるシューマンとブラームスの微妙な三角関係は、これまで何度も小説や映画になっています。本作も内容的には目新しいものはありませんが、作品中で演奏される音楽がとにかく圧巻です。
 何しろエンドロールに「音楽:ロベルト・シューマン、クララ・シューマン、ヨハネス・ブラームス」というクレジットがさりげなく表示されたり、本作の脚本を書き、自ら監督したのが、1980年代ニュージャーマン・シネマを代表する名匠にして、ブラームス家の末裔でもあるヘルマ・サンダース・ブラームスなんですから、さすがはクラシック音楽の本場ドイツと感心してしまいます。(+o+)

  http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=10140

1414. 「人生万歳!」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/20(水) 08:34:31
・「人生万歳!(Whatever Works)」ウディ・アレン監督、アメリカ、2009年
 ウディ・アレン監督の記念すべき40作目の本作は、まさにウディ・アレン節全開の形而上学的かつ形而下学的コメディです。邦題は往年の名作「素晴らしき哉、人生!」(フランク・キャプラ監督、1946年)を下敷きにしたものだと思いますが、この作品をウディ・アレン流にアレンジすれば、まさに本作のような作品になると思います。
 惜しむらくは、本来はウディ・アレンが演じるべき厭世家のの主人公をラリー・デヴィッドが演じていることです。彼の演技も決して悪くはないのですが、彼はウディ・アレンよりもバイタリティーがあるので、ウディ・アレンならボヤキに聞こえるセリフが、説教じみた文句に聞こえてしまうのです。
 形而上学的な説教を形而下学的なボヤキのように聞かせてしまうところが、ウディ・アレン独特の個性なんですよ。(^_-)

  http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=11421

1413. 「東ベルリンから来た女」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/17(日) 10:44:27
・「東ベルリンから来た女(BARBARA)」クリスティアン・ベッツォルト監督、ドイツ、2012年
 旧東ドイツを舞台にした、サスペンスフルな秀作です。とにかくヒロインを演じるニーナ・ホスの存在感が圧倒的で、まさにハードボイルド・ヒロインといった感じです。
 昔はこの手の孤高な主人公は男性であり、その主人公に惹かれるのが心優しくて可憐な女性という構図でしたが、本作ではその男女の役柄が入れ替わっています。しかしニーナ・ホスの媚びない表情と毅然たる態度は、その入れ替わりに違和感が全くありません。
 旧東ドイツの崩壊を少しコミカルに、そしてほろ苦いペーソスと淡い郷愁を込めて描いた秀作「グッバイ、レーニン!」(ヴォルフガング・ベッカー監督、2003年)といい、静かな緊張感が全編にみなぎる人間ドラマの傑作「善き人のためのソナタ」(フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督、2006年)といい、激動の歴史を経験した国からは、やはり味わい深い秀作が生まれるようです。

  http://www.barbara.jp/

1412. 「志段味古墳群と倭王権」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/15(金) 08:30:30
 2月13日に、「志段味(シダミ)古墳群と倭王権」という講演会を聴いてきました。この講演会は「文化小劇場で紡ぎだす名古屋の歴史」というシリーズのひとつで、守山区制50周年記念事業として名古屋市守山文化小劇場で行われたものです。(^o^)/
 志段味古墳群は名古屋市守山区にある古墳群であり、総数が67基もある愛知県内最大のものです。名古屋市内の古墳の総数は約200基ですから、志段味古墳群はその3割強を占めていることになります。
 志段味古墳群を始めとする各地の古墳の調査結果から、古墳時代に畿内にいた倭王勢力(後の大和朝廷)が伊勢湾沿いに東海地方に進出し、名古屋の南部から庄内川沿いに勢力を伸ばして、守山区を拠点にしていた尾張氏を支配下に治め、やがて岐阜から長野まで進出したことと、その勢力が渡来系の人達であったことがわかってきたそうです。
 志段味古墳群の中心には、尾張戸(オワリベ)神社古墳があります。この古墳の上には、尾張氏の祖神である天火明命(アメノホアカリノミコト)、天香語山命(アモノカグヤマノミコト)、建稲種命(タケイナダノミコト)を御祭神とする有名な尾張戸神社があります。
 記紀(古事記と日本書紀)によると、景行天皇の時代(西暦71年〜130年)、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の東征に建稲種命が副将軍として同行し、彼の妹の宮簀姫(ミヤズヒメ)が日本武尊に嫁ぎました。しかし建稲種命は途中で戦死し、やがて日本武尊も戦死すると、日本武尊から天叢雲剣(草薙の剣)を預けられた宮簀姫が、それを奉斎鎮守するため熱田神宮を建立したことになっています。
 志段味古墳群は古墳時代前期(4世紀後半)から終末期(7世紀)にかけてのものですが、この時代の倭王権の東征が日本武尊の神話に反映されているような気がします。
 ちなみに守山区は、昭和38年2月15日に守山市と名古屋市がに合併してできたことをこの講演会で初めて知りました。その頃は豊橋に住んでいたので、名古屋に興味はなかったですからねぇ。(^^ゞ
 今日(2月15日)から、名古屋市市政資料館で「守山のあゆみ」という展示会を開催するそうです。(^_-)

1411. Re[1410]:[1409]:アドバイスいただければ幸いです 投稿者:hamohta 投稿日:2013/02/12(火) 21:18:44
>とものりさん

先生、お忙しいところ本当にありがとうございます!!(T0T)!!
こんなに早くアドバイスいただけるとは思っていなかったので、
感激です・・・。
とてもわかりやすくて、自分が何をすれば良いのか、光が射した思いです。
健常群の例数は手元にありますが、メーカーに問い合わせて、
できれば生データを手に入れたいと思います。
 
またご相談させていただくこともあるかと存じますが、
どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m。

Hamohta拝

1410. Re[1409]:アドバイスいただければ幸いです 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/12(火) 17:40:38
>hamohtaさん
 初めまして、当館の館長を務めております”とものり”こと杉本と申します。当館にご来館いただき、ありがとうございます。m(_ _)m

>>この掲示板で、個人的な統計相談をさせていただくのもどうかと思いましたが、
>>藁にもすがる思いで、投稿させていただきます。
 この掲示板は統計学に関する御質問や御相談を受けることも目的のひとつですから、いつでも気軽に御相談ください。(^_-)

>>さて、ここで、確かに健常者群と患者群では差がある、ということを示すために、
>>統計的な解析をしたいのですが、いろいろな検定がある中でどれを用いれば
>>よいのかさっぱりわかりません。周囲にも統計に詳しい人がおらず、困っています。
 このような場合は健常者と患者を群項目にし、検査値を目的変数にし、年齢を共変数にした共分散分析(ANCOVA)を用いるのが普通です。
 ただし共分散分析を適用するためには、健常者群についても検査値と年齢の実測値データつまり生データが必要です。しかし今回は健常群については年齢層ごとの平均値と1SDが与えられているだけとのことですから、共分散分析は適用できません。
 そして健常群について各年齢層の例数が与えられていなければ、患者群との間でどのような検定手法も適用できません。このような場合は、健常群の平均値と1SDをグラフ化して比較対照とし、同じようにして描いた患者群のグラフを視覚的に(感覚的に)比較することしかできません。
 もちろん、そのグラフにはある程度の意義はあります。しかし現在の医学論文では統計的な処理が要求されることが多いので、できれば検定などを行なっておきたいところだと思います。
 もし健常群の年齢層の例数が与えられていれば、年齢層ごとに健常群と患者群の平均値を比較検定し、その結果を総合的に検討するという方法を用いることができます。
 ただしその場合は、年齢層ごとの比較に多重比較を用いる必要があります。多重比較は、2標本t検定(対応のないt検定)の有意確率p値を検定回数倍したものです。この手法は有意になりにくく、結果を総合的に検討するのが難しいため、あまりお勧めではありません。
 ということで、結局のところ次のような方策が考えられます。
  1.健常群の生データが入手可能な時:共分散分析
  2.健常群の生データはないが、年齢層の例数がわかる時:年齢層ごとの多重比較
  3.どちらも入手できない時:健常群の平均値と1SDをグラフ化し、視覚的に比較する

 共分散分析と多重比較については、当館の次のページを御覧ください。
○玄関>雑学の部屋>雑学コーナー>統計学入門
 →第8章 共分散分析
  http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat08/stat0801.html
 →4.1 多標本の計量値 (1) データに対応がない場合 2) 多重比較
  http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat04/stat0401.html

 以上、参考になれば幸いです。

1409. アドバイスいただければ幸いです 投稿者:hamohta 投稿日:2013/02/12(火) 10:44:32
初めて投稿させていただきます。
某病院で脳神経外科医をやっております、Hamohtaと申します。
先生の統計学入門コーナーは以前より参考にさせていただいておりました。
今回も、論文を作成するにあたり統計解析のことで悩むことが多く、
統計学を基礎から学びたいと思うのですが、なかなか時間もなく、困って
おります。
さて、現在作成中の論文で、いつものように統計の壁が私を悩ませており、
Yahoo!知恵袋で質問するも、納得のいくアドバイスが得られず、途方に
くれていたところ、この掲示板を思い出しました。
 
この掲示板で、個人的な統計相談をさせていただくのもどうかと思いましたが、
藁にもすがる思いで、投稿させていただきます。
 
問題は以下の通りです(知恵袋への投稿そのまま)。

ある検査において、健常者群と患者群で差があるかどうかを調べています。
健常者群のデータは、各年齢群ごとの平均値と1SDが与えられています。
患者群は年齢と検査値が与えられています。

X軸を年齢、Y軸を検査値としたグラフを作成しました。
健常者群のデータは、20〜24歳、25〜29歳・・・という風に与えられているので、
グラフには22.5歳、27.5歳・・・の点にデータをプロットし、各点を線で結んで、
上下に±1SDの線も書いて、検診などで正常値を示すときによく見かける、
帯状のグラフを作成しました。

このグラフに、患者群のデータをプロットしていくと、ほとんどのデータは健常者の
平均値の線より下になったため、おそらく近似曲線(?)を書けば、平均値の
線とはかなり差があるものになると思います。

さて、ここで、確かに健常者群と患者群では差がある、ということを示すために、
統計的な解析をしたいのですが、いろいろな検定がある中でどれを用いれば
よいのかさっぱりわかりません。周囲にも統計に詳しい人がおらず、困っています。

この解析には「××法」を使うと良いよ!などでも構いません。何かとっかかりの
様なものを与えていただければ、自分で勉強しようと思っています。
先生のアドバイスをいただければ幸いです。

ご多忙のところ大変恐縮ですが、どうか宜しくお願いいたします。
 

1408. Re[1407]:統計学セミナー用テキスト 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/12(火) 08:21:32
>おそるおそるさん
>>年末に論文をまとめ投稿しました
>>査読結果まちです
 そうですか、それは良かったですね。査読者から統計手法についてわけの分からないイチャモンをつけられたら、遠慮なくご相談ください。

>>在野でほそぼそと研究を続けている身としては
>>とものりさんのセミナー用テキスト大変ありがたいです
 お役に立てたのなら、嬉しいですよ。このセミナー用テキストはかなりリキを入れて作ったので、自分でもけっこう気に入ってます。(^_-)

1407. Re[1402]:統計学セミナー用テキスト 投稿者:おそるおそる 投稿日:2013/02/11(月) 20:37:35
>とものりさん

>> 当館の「統計学入門」の付録4に統計学セミナー用テキストをアップしました。\(^o^)/
>> 最近、統計学セミナーを依頼される機会が増えたので、それ用のテキストを作成しました。内容は当館の雑学コーナーにある「統計学入門」のエッセンスを抽出し、図とチャートを多用して簡略にまとめたものです。
>> 自分用の忘備録のつもりで作ったので、「統計学入門」の内容を理解しているとすごくわかりやすく、理解しいないとすごくわかりにくいと思います。(^^;)
>> PDF形式なのでダウンロードしてプリントすることもできますから、興味がある方はチラッっと覗いてみてください。(^_-)
>>
>>
いつも拝見しています
昨年ロジスティック回帰分析の件でいろいろご教示いただきました
年末に論文をまとめ投稿しました
査読結果まちです
在野でほそぼそと研究を続けている身としては
とものりさんのセミナー用テキスト大変ありがたいです
年を重ねる度目指した人生が遠くなっていく感じですが
前向きにいきたいと思います
ありがとうございます

1406. 「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/11(月) 10:13:29
・「マリーゴールド・ホテルで会いましょう(The Best Exotic Marigold Hotel)」ジョン・マッデン監督、イギリス・アメリカ・アラブ首長国連邦、2011年
 いやぁ、面白かった〜っ!(^o^)/
 ジュディ・デンチ、マギー・スミス、ペネロープ・ウィルトン、セリア・イムリー、トム・ウィルキンソン、ビル・ナイ、ロナルド・ピックアップと、これだけの名優が揃えばつまらないはずがないと期待していましたが、期待どおりの面白さでした。
 ジュディ・デンチとマギー・スミスは、イメージ的には役柄を交換した方がぴったりきますが、それでも演技力で観客を納得させてしまうのはさすがです。
 ジュディ・デンチは007シリーズの上司M役や、「恋に落ちたシェークスピア」(ジョン・マッデン監督、1998年)のエリザベス女王役など、”怖くて強い女”がはまり役だと思います。でも本作や「ラヴェンダーの咲く庭で」(チャールズ・ダンス監督、2004年)などでは内気で控えめな女性を見事に演じ、少女のように可愛らしくてチャーミングなので驚かされます。
 また売り出し中の若手俳優デヴ・パテルが、溌剌とした演技でスパイスを効かせています。彼は「スラムドッグ$ミリオネア」(ダニー・ボイル監督、2008年)の静かな青年役よりも、本作のような元気いっぱいの青年役の方が似合っている感じです。
 本作はリタイアした老人達のお伽噺であり、年金生活者になった僕のために誂えてくれたような作品です。僕と同じようなリタイアした老人達にお勧めします。v(^_-)

  http://www.foxmovies.jp/marigold/

1405. 「トイレット」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2013/02/09(土) 18:42:09
・「トイレット」荻上直子監督、日本・カナダ、2010年
 カナダでロケをし、もたいまさこ以外は全てカナダとアメリカの俳優で、セリフは全て英語という荻上直子監督の異色作です。出世作の「かもめ食堂」と同様に、お伽噺のような浮世離れしたストリートと、まったりとした雰囲気が独特で、「荻上直子の世界」がますます成熟してきている感じです。
 でも本作は、もたいまさこの存在感だけに支えられているような感じなので、もたいまさこと片桐はいりというユニークな俳優の存在感に支えられた「かもめ食堂」と比べると、インパクトが少々弱い感じです。
 それから映画マニアにとっては嬉しいことに、親日家として知られたシャーリー・マクレーンとスティーヴ・パーカー夫妻の娘、サチ・パーカーが謎の女性として出演しています。彼女は幼少時に日本に住んでいて、長崎俊一監督の「西の魔女が死んだ」(2008年)では主演を務め、けっこういい味を出していました。v(^_-)

  http://www.cinemacafe.net/official/toilet-movie/

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