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【各種の推理小説ベストテン】

1995年頃に、某パソコン通信ネットのボード上で推理小説のベストテンが話題になったことがあります。 推理小説というジャンルはこういったベスト物を選ぶことがよくあり、推理小説ファンならば、そのリストを見ているだけでけっこう楽しいものがあります。 そこで、参考までにその時挙げられた各種のベストテンを紹介しましょう。 なお「エラリー・クイーンの黄金の20」だけは年代順です。

エラリー・クイーンの黄金の20・短編集(1943年)
1845年「小説集」エドガー・アラン・ポー
1892年「シャーロック・ホームズの冒険」アーサー・コナン・ドイル
1894年「マーチン・ヒューイット探偵」アーサー・モリスン
1909年「隅の老人」バロネス・オルツィ
1909年「ジョン・ソーンダイクの数々の事件」オースチン・フリーマン
1910年「ルーサー・トラントの功績」ウィリアム・マクハーグ
エドウィン・ボルマー
1911年「ブラウン神父の童心」G・K・チェスタトン
1914年「マックス・カラドス」アーネスト・ブラマ
1918年「アブナー伯父」M・D・ポースト
1920年「フォーチュン氏を呼べ」H・C・ベイリー

エラリー・クイーンの黄金の20・長編(1943年)
1866年「ルルージュ事件」エミール・ガボリオー
1868年「月長石」ウィルキー・コリンズ
1878年「レヴンワース事件」アンナ・キャザリン・グリーン
1887年「緋色の研究」アーサー・コナン・ドイル
1913年「トレント最後の事件」E・C・ベントリー
1920年「樽」F・W・クロフツ
1925年「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー
1926年「ベンスン殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン
1930年「マルタの鷹」ダシール・ハメット
1932年「犯行以前」フランシス・アイルズ

『EQMM』誌のアンケート短編ベスト12(1950年)
「オッターモール氏の手」トマス・バーク
「盗まれた手紙」エドガー・アラン・ポー
「赤毛連盟」アーサー・コナン・ドイル
「偶然の審判」アントニー・バークリー
「放心家組合」ロバート・バー
「13号独房の問題」ジャック・フットレル
「犬のお告げ」G・K・チェスタトン
「ナボテのぶどう園」M・D・ポースト
「ジョコンダのほほえみ」オルダス・ハックスリー
10「黄色いナメクジ」H・C・ベイリー
11「本物の陣羽織」E・C・ベントリー
12「疑惑」ドロシイ・L・セイヤーズ

日本推理作家協会のベストテン
海外編(1970年代)
「Yの悲劇」エラリー・クイーン
「幻の女」ウイリアム・アイリッシュ
「樽」F・W・クロフツ
「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー
「赤毛のレドメイン家」イーデン・フィルポッツ
「僧正殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン
「モルグ街の殺人」エドガー・アラン・ポー
「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー
「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー
「黄色い部屋の秘密」ガストン・ルルー
「わらの女」カトリーヌ・アルレー

日本推理作家協会のベストテン
日本編(1970年代)
「点と線」松本清張
「本陣殺人事件」横溝正史
「二銭銅貨」江戸川乱歩
「黒死館殺人事件」小栗虫太郎
「刺青殺人事件」高木彬光
「黒いトランク」鮎川哲也
「獄門島」横溝正史
「不連続殺人事件」坂口安吾
「ゼロの焦点」松本清張
「陰獣」江戸川乱歩
「孤島の鬼」江戸川乱歩

『週間文春』のアンケート
海外編(1985年)
「Yの悲劇」エラリー・クイーン
「幻の女」ウイリアム・アイリッシュ
「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー
「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー
「鷲は舞い降りた」ジャック・ヒギンズ
「深夜プラス1」ギャビン・ライアル
「樽」F・W・クロフツ
「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー
「僧正殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン
10「シャーロック・ホームズの冒険」アーサー・コナン・ドイル

『週間文春』のアンケート
日本編(1985年)
「獄門島」横溝正史
「虚無への供物」中井英夫
「点と線」松本清張
「不連続殺人事件」坂口安吾
「黒死館殺人事件」小栗虫太郎
「ドグラ・マグラ」夢野久作
「本陣殺人事件」横溝正史
「黒いトランク」鮎川哲也
「戻り川心中」連城三紀彦
10「刺青殺人事件」高木彬光

『ハヤカワ・ミステリマガジン』のアンケート(1991年)
「幻の女」ウイリアム・アイリッシュ
「深夜プラス1」ギャビン・ライアル
「シャーロック・ホームズの冒険」アーサー・コナン・ドイル
「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー
「あなたに似た人」ロアルド・ダール
「偽のデュー警部」ピーター・ラヴゼイ
「Yの悲劇」エラリー・クイーン
「死の接吻」アイラ・レヴィン
「夢果つる街」トレヴェニアン
10「キドリントンから消えた娘」コリン・デクスター

こうして並べてみますと、年代とともに推理小説の内容と読者の好みが変化していくのがよくわかります。 今こういったアンケートを行えば、やはりこれらとはかなり傾向の違ったものになるでしょう。