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1354. Re[1352]:管理人様 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/09/19(水) 17:47:38
>たかおさん
初めまして、当館の館長を務めております”とものり”こと杉本と申します。ご来館いただき、ありがとうございます。m(_ _)m

>>雑学コーナーの放射線による発がんの補足1の中で、
>> ”そして全死亡者中のガンによる死亡者の割合が50年間変わらずに約30%だとすると、
>>  全体の累積死亡率は37%になり、累積死亡数は3700人になります。”
>>とあるのですが、この累積死亡率の計算方法が分かりません。
 これは、50年後のガンによる累積死亡率が約11%であり、それが全体の累積死亡率の30%に相当することから、全体の累積死亡率をxとすると、
  0.11/x=0.3 -> x=0.11/0.3=0.366666≒0.37(37%)
として求めた値です。実は、この値はかなりいい加減な推測値です。(^^;)
 ここで言いたかったことは、致死リスク係数を年間死亡者中のガン死亡者の割合である30%に適用して、「1Svの放射線を浴びるとガンの危険性が5%増えて35%になる」という、マスコミなどがよくやる計算は間違いだということです。
 致死リスク係数はガンによる累積死亡者数が増える割合であり、その結果として全体の累積死亡者数も増えるため、そのことを考慮しないと全体の累積死亡者中のガン死亡者の割合を正確に求めることはできない、ということが言いたかったのです。
 このことを具体的に説明するためには、放射線を浴びない場合の50年後の全体の累積死亡率を求める必要があったので、上記のような概算によって推測値を求めたのです。

 以上の説明で、お分かりいただけましたでしょうか?

1353. 「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/09/19(水) 17:20:39
・「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」長谷川三郎監督、日本、2012年
 反骨の報道写真家、福島菊次郎氏の姿を追ったドキュメンタリー映画の力作です。
 「問題自体が法を犯したものであれば、カメラマンは法を犯してもかまわない」と言い切り、権力の欺瞞を暴くためには隠し撮りも厭わず、「国家権力を告発する者が国家の施しを受けるわけにはいかない」と言って年金も生活保護も拒否し、常に権力によって虐げられた人々に寄り添う彼の姿は、僕のような学生運動世代の人間にとっては、拍手喝采を送りたくなるほど痛快です。v(^o^)
 若き日の彼は軍国教育を受けたバリバリの軍国青年であり、特攻隊要員でした。それが広島・長崎への原爆投下、日本の敗戦という悲惨な体験を通し、また忠君愛国・反米主義から一転して、民主主義・親米主義に掌を返した国家権力の欺瞞を目の当たりにして反骨精神に目覚め、頑ななまでの反権力主義を貫くことになります。
 本作と彼の報道写真を見ると、国家とは、最下層の庶民の犠牲の上に立って、ただ国家という組織それ自体を存続させることのみを唯一の目的とした非人間的な存在であり、国家権力を担う人達は必然的に人間らしい感情を失った非情な人間になってしまう、ということがよくわかります。(~.~)

  http://bitters.co.jp/nipponnouso/

1352. 管理人様 投稿者:たかお 投稿日:2012/09/19(水) 16:58:09
はじめまして。
少しお伺いしてもよろしいでしょうか?

雑学コーナーの放射線による発がんの補足1の中で、
”そして全死亡者中のガンによる死亡者の割合が50年間変わらずに約30%だとすると、
  全体の累積死亡率は37%になり、累積死亡数は3700人になります。”
とあるのですが、この累積死亡率の計算方法が分かりません。
頭の悪い質問で申し訳ないのですが、教えていただければ嬉しいです。

1351. 「未来を生きる君たちへ」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/09/09(日) 11:16:44
・「未来を生きる君たちへ(H/EVNEN)」スザンネ・ビア監督、デンマーク・スウェーデン、2010年
 「あいち国際女性映画祭」、今度はデンマーク映画界の俊英、スザンネ・ビア監督の「未来を生きる君たちへ」を観ました。(^o^)/
 洋の東西を問わない普遍的な問題である子供の世界のいじめと、暴力と憎しみの連鎖に溢れた現在の世界情勢を対比させながら、復讐と赦しという難しいテーマを真正面から取り上げた秀作です。この映画はアフリカの難民問題も少し取り上げているため、UNHCR難民映画祭でも上映されます。しかしその問題については、残念ながら少々掘り下げ不足の感が否めません。
 でも子供の世界の描き方の秀逸さが、それを補って余りあります。とにかくヨーロッパ映画の例に漏れず子役の使い方が巧みで、しかもアメリカ映画のように子供達が変にこまっしゃくれていないので好感が持てます。特に主役の少し影のある少年は、北欧らしい萩尾望都好みの美少年(^^;)です。
 女性映画祭なので観客の大半は女性でしたが、周囲のオバ様達はこの美少年にすっかり参ってしまったようでした。(^^;)

  http://www.aiwff.com/2012/films/memorable/in-a-better-world.html

1350. 「エンディングノート」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/09/08(土) 10:30:33
・「エンディングノート」砂田麻美監督、日本、2011年
 昨日(9月7日)、毎年恒例の「あいち国際女性映画祭」に行ってきました。(^o^)/
 昨日観たのは、昨年、評判になったドキュメンタリー映画「エンディングノート」。「段取り命!p(*o*)」の熱血営業マンが会社を退職した直後にガン宣告を受け、自分の葬儀までの段取りに文字通り命をかける姿を、娘である砂田麻美監督がユーモラスに撮った秀作です。
 主人公の砂田知昭氏は団塊の世代であり、高度成長期の典型的な会社人間です。人生の全てを会社に捧げた彼には、自分の人生の最後も会社で行なっていた段取り方式で行うことしかできません。そして、その段取りに真面目に取り組めば取り組むほど巧まざるユーモアが漂って、本当は深刻な状況にもかかわらず、思わず笑わされてしまいます。
 そんな父親を突き放すのではなく、かといってべったりくっつくわけでもなく、適度な距離感を保って見守る砂田監督の冷静かつ温かい視線が実に心地良いのです。同じように娘を持つ父親としては、自分もこんなふうに娘に見守られながら最後を迎えたいと羨ましく思いました。
 そろそろ自分の人生の始末をつけなければと考え始めた人達に、お勧めの映画です。v(^_-)

  http://www.aiwff.com/2012/films/memorable/ending-note.html

1349. 「ガリ切りの記」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/09/05(水) 09:24:58
・「ガリ切りの記−生活記録運動と四日市公害」澤井余志郎著、影書房、2012年
 著者の澤井余志郎氏は、四日市喘息の患者達を支援する活動を40年にわたって無償で続けてきた人であり、「何よりも事実は強い」という信念に基づいて、事実を記録してそれを人に伝える活動を現在も継続して行なっている”公害記録人”あるいは”公害の語り部”です。本書は、その著者が紡績工場で女子工員達と行った生活記録運動と、四日市公害について書いた本です。
 本書を読むと、何でもビジネスチャンスに結びつけたがる、経済優先主義の人達の心の貧しさ、自分達の目先の利益を「国益」にすり替え、何でもカネでカタをつけたがる大企業の経営者達の浅ましさ、自分達の権力争いを詭弁を弄して「国のため」と言いつのり、大企業を擁護する政治家達の傲慢さ、自分達の既得権を守るために権力に物を言わせて理不尽を押し通す行政の非情さがよくわかります。
 そして”国策”として推進された石油コンビナートの巨大な利権に群がる大企業と政治家と行政の癒着構造が、公害訴訟裁判に負けた現在でもなお健在であることと、それと全く同じ癒着構造が”原子力ムラ”にも当てはまる現実を見ると、怒りがムラムラと湧いてきます。
 また汚染された海から獲れた臭い魚を試食し、あまりの臭さに知事も県職員もすぐに吐き出してしまったにもかかわらず、それを「おいしい」と言って食べた某電力会社社員の姿を見ると、政府と電力会社の見解に対する市民の意見を聞く場であるはずの原発意見公聴会に出席して、電力会社の見解を支持する意見を述べた電力会社社員の姿とダブリ、ここまで会社に飼い慣らされてしまった人達に対して怒りを通り越して哀れさすら感じます。
 某地方で地元の区長をやっていた時に似たような公聴会に参加した経験から、こういった公聴会が実は行政によるヤラセであり、行政側の依頼で電力会社の社員に動員がかかっていたであろうことはわかりますが、それが意図とは正反対の効果をあげるであろうことに考えが及ばない行政と企業の馬鹿さ加減というか無神経さには、つくづく呆れてしまいます。

1348. 「地球時間」をアップしました 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/09/02(日) 10:16:48
 1万3000年にわたる人類史を概観した「銃・病原菌・鉄」(1346番の書き込み参照)を読み、何となくもっと長い時間スケールで、そしてもっと広い視野で地球の歴史を概観したくなりました。
 そこで地球の歴史を1年間のカレンダー形式でまとめた表や、24時間の時計形式でまとめた表を眺めていて、ふと、これらの表は現在で時が止まってしまう未完成品であることに気付きました。そこで地球の誕生から消滅までの約120億年間を12時間の時計で表す、12時間地球時計の形式でまとめてみました。これがけっこう面白いデキなので、それを当館の「閑話閑人」に「地球時計」としてアップしました。
 興味のある方は、一度、覗いてみてください。(^_-)

1347. 「南からの風」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/30(木) 08:52:48
 昨日(8月29日)、ウィンクあいちで開催された「南からの風」に行ってきました。(^o^)/
 これは9月14日から始まる「なら国際映画祭」の前宣伝で、新作映画「祈り」の上映会、映画祭のエクゼクティブ・ブロデューサーである映画作家・河瀨直美氏と、哲学者・鷲田清一氏のトークショー、奈良の物産展「NARAマルシェ」、パネル展などが行われました。
 「祈り」は、メキシコの新鋭監督ペドロ・ゴンサレス・ルビオ氏が、なら国際映画祭のために奈良県十津川村神納川を舞台にして撮り下ろした、ドキュメンタリータッチの映像詩です。
 日本の田舎を舞台にしていますが、”ディスカバー・ジャパン!”といった感じで日本らしさを過度に強調するわけでもなく、日本の都会人が抱きがちな田舎に対する”美しき幻想(^^;)”もなく、田舎の人々の日常を淡々と描いていて好感を持ちました。そして何より、監督の映像センスと音楽センスの良さには感心しました。
 また田舎のおばあちゃんの、”巧まざるユーモア”を感じさせるチャーミングな言動が実にいい味を出していました。どこの田舎にも、こういったおばあちゃんがいるもんですよね。(^_-)

  http://www.nara-iff.jp/projects/southern-wind-sponsored%20.php

1346. 「銃・病原菌・鉄」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/23(木) 10:44:25
・「銃・病原菌・鉄(GUNS,GERMS,AND STEEL)−1万3000年にわたる人類史の謎− 上・下」ジャレド・ダイアモンド著、倉骨彰訳、草思社、2000年
 少し前にベストセラーになった本ですが、ベストセラーは敢えて無視するヘソ曲がりの僕は本屋で一部を立ち読みしただけでした。その本の文庫版が出版されたので、今回は真面目に全部を読みました。(^^;)

「人類社会の歴史は世界の異なる場所で異なる発展を遂げ、現代世界は欧米民族が支配している。しかしその原因は住居環境の違いによるものであり、人種や民族の間の生物学的な違いによるものではない」

という我々非欧米民族から見れば自明なことを、1万3000年の人類史を概観しつつ、圧倒的な事実に基づいて論証しています。
 たったこれだけのことを言うために、分子生物学、遺伝子学、生物地理学、環境地理学、考古学、人類学、言語学等の知識を総動員し、あの手この手の理論を駆使して、上下600ページ以上(日本語版)ものページ数を費やして論証していること、本書を読んだ欧米人達が衝撃を受け、本書を「逆転の人類史」と評したことなどから、逆に欧米人の間に根強く残る人種や民族に対する差別的な偏見をうかがい知ることができます。
 また人類史を「持てるものが持たざるものを征服してきた歴史」と捉え、欧米の文明を人類進化の賜物と無意識のうちに捉えている著者は、江戸時代の日本が銃火器の技術を放棄したことを、孤立した社会において、既存の進んだ技術が後退した事例として挙げています。
 しかし人類史を「仲間同士の争いを抑制し、平和に暮らす知恵を発達させた人達を、仲間同士の争いを助長し、相手を殺す知恵を発達させた人達が殺戮してきた歴史」つまり「悪貨が良貨を駆逐する」というグレシャムの法則の動物版と捉えている僕は、江戸時代の日本が銃火器の技術を放棄し、刀剣を実用的なものから非実用的な芸術品にまで昇華し、日本全体で軍縮を成功させたことを、世界史的にも稀な進歩的な事例と考えています。
 そして、

「肉体に強力な武器を備えた肉食獣は、仲間同志の殺し合いを抑制する本能や、餌となる動植物を必要以上に殺傷しない本能を発達させた種だけが、自然淘汰によって生き残っている。それに対して我々人類のように武器のない弱い動物は、速い逃げ足などを発達させ、仲間同志の争いを抑制する本能は発達させていない。
 ところが人類は肉体以外に強力な武器を急激に発達させたため、攻撃を抑制する本能がまだ追いつかないでいる。そのため仲間同志殺し合いをしたり、餌となる動植物を必要以上に殺傷したり、餌とならない動植物まで「楽しみ」のために殺傷しまくっている。
 生物の歴史を見れば、そのような種族は自然淘汰によって滅び去っている。人類が攻撃抑制の本能を発達させるには数億年の時間がかかるだろうから、人類が自然淘汰によって滅び去るかどうかは、理性によって攻撃本能を抑制することができるかどうかにかかっている」

というコンラット・ローレンツの考えを支持している僕は、著者の博学ぶりに圧倒されながらも、もし本書を非欧米人が書いたら、同じ事実に基づきながら全く違った内容のものなるのではないかと、少々無い物ねだりの感想を抱いてしまいました。(^_-)

1345. Re[1344]:中村哲医師 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/21(火) 19:41:13
>通りすがり(^^;;さん
>>自分の社会活動に命をかけれる(ご本人はそんなつもりはないのかも・・ですが)のは、
>>同じ人間ながら別の世界の人・・・な感じです。
 最後の質疑応答で、会場の人からこれと似たような賛辞を贈られた中村先生は、次のように答えられていましたよ。

「私の場合は、たまたまドラマチックな出来事に巻き込まれてマスコミに取り上げられただけで、特別なことをしたわけではないと思います。マスコミが取り上げないだけで、似たようなことをしている人は世の中にいっぱいいると思いますよ。
 例えば寝たきりの親の介護を長い間やっている人とか、病気の夫の看護をして、夫を支え続けている奥さんとかも、マスコミが取り上げないだけで、私がやっていることと同じようなものだと思います」

 中村先生のこういうところが、僕は好きなんですよね。v(^_-)

1344. Re[1343]:「アフガニスタン現地報告会」 投稿者:通りすがり(^^;; 投稿日:2012/08/21(火) 17:12:47
>とものりさん

ペシャワール会の中村哲医師。。。
凄いですね。

自分の社会活動に命をかけれる(ご本人はそんなつもりはないのかも・・ですが)のは、同じ人間ながら別の世界の人・・・な感じです。尊敬とか超越しているかも・・・です。。
お元気で、その志。多くの人につないでいって欲しいですね。




>> 今日(8月18日)は、鯱城(こじょう)ホールで開催されたペシャワール会の中村哲医師による「アフガニスタン現地報告会」に行ってきました。(^o^)/
>> 750席のホールはほぼ満席で、僕のようなペシャワール会会員だけでなく、半分くらいは一般の人のようでした。内容は最新のドキュメンタリー映画「アフガニスタン干ばつの大地に用水路を拓く・治水技術7年の記録」の上映と、中村医師による現在までの活動報告でした。
>> 例によって朴訥としてユーモラスでいながら、時折、痛烈なことをボソッと口にする中村医師の話を聞いていると、我が意を得たりという気がして実に爽やかな気持ちになります。
>>

>> 中村医師は8月10日に椎間板ヘルニアの手術をされたばかりだそうで、歩くのが少し辛そうでした。アフガニスタンの60万人の農民を始めとして、世界中の多くの人々が中村医師を必要としているので、大いにご自愛していただきたいものです。(-.-)
>>

1343. 「アフガニスタン現地報告会」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/18(土) 20:53:21
 今日(8月18日)は、鯱城(こじょう)ホールで開催されたペシャワール会の中村哲医師による「アフガニスタン現地報告会」に行ってきました。(^o^)/
 750席のホールはほぼ満席で、僕のようなペシャワール会会員だけでなく、半分くらいは一般の人のようでした。内容は最新のドキュメンタリー映画「アフガニスタン干ばつの大地に用水路を拓く・治水技術7年の記録」の上映と、中村医師による現在までの活動報告でした。
 例によって朴訥としてユーモラスでいながら、時折、痛烈なことをボソッと口にする中村医師の話を聞いていると、我が意を得たりという気がして実に爽やかな気持ちになります。

 中村医師は8月10日に椎間板ヘルニアの手術をされたばかりだそうで、歩くのが少し辛そうでした。アフガニスタンの60万人の農民を始めとして、世界中の多くの人々が中村医師を必要としているので、大いにご自愛していただきたいものです。(-.-)

1342. 「江戸絵画ふしぎ探検」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/17(金) 19:01:23
 徳川美術館の企画展示「江戸絵画ふしぎ探検」を観てきました。(^o^)/
 絵で表現した”なぞなぞ”である判じ物とか、コスプレーヤーやら傾奇者やら異国人やら、1000人もの群像が画面いっぱいにひしめき合っている、まるで「ウォーリーを探せ!」のような祭礼図とか、とにかく目の付け所が面白い企画展示でした。
 こういった絵画を始めとして、日本らしい文化の大半が江戸時代に完成したことを考えると、江戸時代は現代よりもよっぽど精神的に豊かな生活を送り、人生を楽しんでいたのだろうとつくづく思わされます。

  http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h24/06/index.html

1341. 「さよなら子供たち」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/16(木) 16:24:44
・「さよなら子供たち(Au revoir les enfants)」ルイ・マル監督、1987年、フランス/西ドイツ
 「死刑台のエレベーター」や「地下鉄のザジ」で有名なルイ・マル監督の自伝的作品。第2次世界大戦時、ドイツ軍占領下のパリの神学校で生活する少年たちの姿をきめ細かく淡々と描いています。
 本作と「子供たちの王様」(陳凱歌監督)を見比べると、学校の様子はかなり違っているものの、子供達の世界は洋の東西を問わず似たり寄ったりだということがわかります。この感覚は、チンパンジーの子供達の様子を捉えたドキュメンタリーを観た時にも同じように抱きました。そしてチンパンジーのボス争いとか縄張り争いの様子を捉えたドキュメンタリーを観た時は、人間の権力争いとか、国またはヤクザの縄張り争いを観た時と全く同じ感想を抱きました。(^_^;)
 さすがはゲノムの98.7%が同じだけあって、(チンパンジーには怒られるかもしれませんが(^^;))人間のやることとチンパンジーのやることはほとんど変わらないようです。

  http://blogs.yahoo.co.jp/trickstar2003jp/52920480.html

1340. 統計学セミナー第2回目 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/10(金) 09:58:41
 評判が良かったのか、それとも講師料が格安だったせいか(^^;)、今年の1月に行った統計学セミナーの第2回目を10月に行うことになりました。今回は多変量解析について、2日間かけてじっくり説明します。
 暇と金を持て余していて、しかも多変量解析というやたらと難解なシロモノに興味があるという奇特な方は、リンク先のセミナー案内を御覧ください。(^o^)/

  http://www.johokiko.co.jp/seminar_medical/AA121040.php

1339. Re[1338]:[1337]:多項ロジスティック回帰分析の独立変数の係数と従属変数の出現率の関係の解釈 投稿者:おそるおそる 投稿日:2012/08/06(月) 21:23:28
とものりさん
いつも,丁寧なご回答ありがとうございます.
>> ただし厳密に言えば、Ex(B)つまりオッズ比(OR)のことを近似的に相対リスク(RR)と解釈することができるのは、「転職場意向あり」の出現率が低い(だいたい10%以下)時だけです。このため「転職場意向あり」の出現率が高い時は、「転職場意向ありの出現率は、約3倍となり」という表現は不正確になります。
>> でもこのことはあまり理解されていないため、ロジスティック回帰分析に詳しい査読者がいない限り、指摘される可能性は低いと思います。
従属変数の各出現率で,ORがRRの近似値として利用の可否が決まるということが,ネット上の他の資料にも書かれありました.投稿する前でよかったです.ORとRRの関係を深めてみたいと思います.当方の研究領域(医療福祉系)では,独立変数のある基準量の増加(あるスケールの値の増加)が,従属変数の出現率に影響(何倍)するという考えかたはとても腑に落ちるというか,理解しやすい説明と考えています.
再度,教科書や,文献,ネット上で調べてから,またご相談させていただきたいと思います.


当方,東北地方在住のため,いわゆる小劇場的な映画館は知っている範囲でひとつしかないのです.自分も映画好きを自称してきましたが,まだまだです.


取り急ぎ,御礼のみ失礼いたします.



1338. Re[1337]:多項ロジスティック回帰分析の独立変数の係数と従属変数の出現率の関係の解釈 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/06(月) 10:33:01
>おそるおそるさん
 ご質問にお答えします。
>>この,結果から,「職場の上司の不理解感と,転職場意向との関連性があり,
>>職場の上司の不理解感が1点上昇した場合(1点の回答者と2点の回答者を比較すると)
>>の転職場意向の出現率は,約3倍となり,独立変数と従属変数の関連性はかなり強い」
>>→「この独立変数の従属変数への影響は大きい」→「部下に不理解感をもたれると大変」
>>という表現を考察で延べたいのですが,考え方や文章表現に問題はないでしょうか.
 大きな問題はないと思います。
 ただし厳密に言えば、Ex(B)つまりオッズ比(OR)のことを近似的に相対リスク(RR)と解釈することができるのは、「転職場意向あり」の出現率が低い(だいたい10%以下)時だけです。このため「転職場意向あり」の出現率が高い時は、「転職場意向ありの出現率は、約3倍となり」という表現は不正確になります。
 でもこのことはあまり理解されていないため、ロジスティック回帰分析に詳しい査読者がいない限り、指摘される可能性は低いと思います。

>>とものりさんの,映画の紹介は,ほぼ毎日拝見しています.
 それはありがとうございます。
 へそ曲がりのため、小劇場向けのかなりマニアックな作品ばかり紹介しますが、何かの参考になれば嬉しいです。
 それでは、今後ともよろしくおねがいします。m(_ _)m

1337. 多項ロジスティック回帰分析の独立変数の係数と従属変数の出現率の関係の解釈 投稿者:おそるおそる 投稿日:2012/08/05(日) 18:13:52
とものりさん
いつも,拝見しております.これまで何度も,統計学に関する質問をさせていただき,ご丁寧に教示いただき感謝しております.おかげさまで,論文がひとつまとめられそうです.投稿予定が,すでに半年ほどおくれていますが.
以前ご相談した内容と重複したなら恐縮です.
以下,ご相談です.
医療専門職の離職意向について,従属変数が3水準(離職意向なし,転職場意向あり,転職意向あり)で,転職場意向ありを従属変数とし,ある独立変数のロジスティック回帰係数が1.136(p値0.0009)でEx(B)が3.113となり,信頼区間は1をまたいでいません.独立変数は,7個投入しています.この独立変数の値は,職場の上司の不理解感(回答者の主観)を5件法で測定したもので,値の範囲は1〜5(5が一番強く不理解感を感じている)で,232例で平均2.41,SD1.06でした.
この,結果から,「職場の上司の不理解感と,転職場意向との関連性があり,職場の上司の不理解感が1点上昇した場合(1点の回答者と2点の回答者を比較すると)の転職場意向の出現率は,約3倍となり,独立変数と従属変数の関連性はかなり強い」→「この独立変数の従属変数への影響は大きい」→「部下に不理解感をもたれると大変」という表現を考察で延べたいのですが,考え方や文章表現に問題はないでしょうか.ただし,この値は,質問項目一つ(いわゆる心理尺度における尺度構成の手順を踏んで作成した尺度ではないので,尺度の信頼性や妥当性をいわれると白旗状態なのです)ご教示いただけますと幸いです.

 とものりさんの,映画の紹介は,ほぼ毎日拝見しています.恥ずかしながら,モラトリアム人生まっしぐらの小生は,なかなか映画館に足を運ぶ時間を確保できず,目標のステージにたとどりついたら,みたいと思う映画をメモしています.


1336. 「タイムトラベラーズ・ワイフ」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/08/05(日) 12:59:24
・「タイムトラベラーズ・ワイフ(The Time Traveler's Wife) 上・下」オードリー・ニッフェネガー著、羽田詩津子訳、ランダムハウス講談社、2004年
 少し前に話題になったSF小説で、僕の好きなタイムパラドックス物です。でもタイムパラドックスをテーマにしたSFマニア向けの物語というよりも、タイムトラベルという仕掛けを使って、赤い糸で結ばれた男女の運命的なラブストーリーと、仕事で留守をしがちな夫と妻のすれ違い生活の心理をビビットに描写した、夫婦愛の物語といった方がいいでしょう。(^_^;)
 アメリカでベストセラーになったため映画化され、「君がぼくを見つけた日」(ロベルト・シュベンケ監督)という邦題で日本でも公開されています。映画はストーリーを単純にし、ラブストーリーに徹しています。
 筒井康隆のタイムバラドックス物の古典的SF小説「時をかける少女」が、アニメや実写映画になると、SFマニア向けのタイムパラドックス物ではなくラブストーリー物になるのと同様に、「運命の相手とのラブストーリー」というテーマの方が、普通の人には受け入れやすいのでしょう。

1335. 「冷たい熱帯魚」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/31(火) 10:46:53
・「冷たい熱帯魚」園子温監督、日本、2011年
 尖った映像表現で映画マニアに注目されている園子温監督の衝撃作。実際の猟奇殺人事件に触発された作品のため、映像表現がかなりエロ・グロい。(^_^;)
 本質的にはブラックコメディ的なホラー作品ですが、実写でこれだけグロい表現をやられると少々引いてしまいます。漫画で表現すれば、もっとブラックコメディ的な味わいの作品になったと思います。
 ただし映像表現は衝撃的ですが、作品の内容はよくある家庭崩壊の物語であり、あまり衝撃的ではありません。その点、映像表現は抑えていながら、内容が衝撃的な「灼熱の魂」(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)とは好対照です。
 精神的な衝撃度という意味では、「灼熱の魂」の方が断然強烈でした。

  http://www.coldfish.jp/index.html

1334. 「オーケストラ!」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/27(金) 11:07:04
・「オーケストラ!(Le Concert)」ラデュ・ミヘイレアニュ監督、フランス、2009年
 とにかく、ラスト12分間のヴァイオリン協奏曲(チャイコフスキー)の演奏シーンが圧巻! それまでのぎこないギャグやドタバタは一体何だったんだと思うほど、このラストシーンには泣かされました。(ToT)
 映画と音楽が好きな人にはお勧めの傑作です。
 「のだめカンタービレ」とか「ピアノの森」とか「神童」とか、日本でも少し前にクラシック音楽を題材にした映画やアニメが流行しました。しかし本作を観ると、こういった映画を撮らせたら、やっぱりヨーロッパ映画にはとてもかなわないということをつくづく実感させられます。
 見ず知らずの者同士だった若き女性ヴァイオリニストと、寄せ集めのセコハン的オーケストラの指揮者・団員が、協奏曲の演奏を通してお互いに理解し合い、国や民族を超えて音楽そのものと一体化し、至高の境地に至るラストシーンが本作のテーマであり、だからこそ原題は「コンチェルト」なのです。それを「オーケストラ!」という邦題にした配給元のセンスはやはり日本的というか、この方が日本人好みなのでしょう。
 チャップリンの「街の灯」のラストを観て泣かない人、または「ギャラクシー・クエスト」(ディーン・パリソット監督)の大団円や本作の大団円で、映画の中の観客と一緒になって拍手喝采しない人がいたら、僕はその人とは友達になれそうもありません。(^_^;)

  http://orchestra.gaga.ne.jp/#/main

 ちなみに、本作の翌年に「黄色い星の子供たち」(ローズ・ボッシュ監督)で良心的な看護師を演じることになるメラニー・ロランが、本作では不幸な生い立ちのうら若きヴァイオリニストを印象的に演じています。
 また愛すべきチェロ奏者サーシャを演じるドミトリー・ナザロフが、ペーソスを感じさせる名演技でいい味を出しています。この人の風貌と体格はまさにチェロ奏者で、実にいいです。(^_-)

1333. 「子供たちの王様」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/25(水) 10:07:00
・「子供たちの王様(Hai zi wang)」陳凱歌(チェン・カイコー)監督、中国、1987年
 張芸謀(チャン・イーモウ)監督とともに、中国映画界おける「第5世代」を代表する陳凱歌監督の初期の作品。
 キルギス映画「明りを灯す人」や本作を観ると、何となく日本がまだ貧しかった僕等の子供時代を思い出します。子供時代に「リアル昭和30年代(^^;)」を体験した者にとっては、日本映画「ALWAYS 三丁目の夕日」に描かれた昭和30年代は、決して存在しなかった幻の30年代または擬似30年代にしか見えません。
 ガリガリに痩せて肌の色艶が悪く、貧相な顔の子供達や、道端で物乞いをする傷痍軍人や、薄汚れた風景や、ドブから漂うすえたような異臭といった情景は、現代の日本の実写映画ではもはや表現することは不可能に近いのでしょう。そして本物の昭和30年代の情景は、豊かで贅沢になった現代の日本の観客には、かえってリアリティが感じられないのかもしれません。(~.~)

  http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=7968

1332. 還暦同窓会と還暦の歌 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/23(月) 18:14:34
 一昨日(7月21日)、今年2回目の還暦同窓会(^^;)があったので参加してきました。今回は高齢…いや恒例の豊橋祇園祭の花火大会で還暦祝いの花火を打ち上げてもらい、それを桟敷席から眺めるという豪勢な企画でした。
 豊橋祗園祭の花火大会は、江戸時代には三大花火大会と称された由緒ある花火大会で、かの滝沢馬琴も旅行記の中で紹介しているそうです。(←自分の地元なのに、今回の花火大会で初めて知った意外な事実!(^^)ゞ)
 この花火大会は、スポンサー料を支払えば、希望したナレーション入りで花火を打ち上げてもらえます。そこで同窓生一同で、還暦祝いの花火を申し込んだというわけです。
 記念に自分達が依頼した花火を写真に撮ろうとしたんですが、花火を綺麗に写すのは至難の業で、見事に失敗してしまいました。仕方がないので、代わりに豊橋祗園祭のポスターへのリンクを張っておきます。(^^;)

  http://toyohashigion.org/schedule/poster.html

 二次会で、同窓生の近藤浩章君(いずみたくの弟子で、アンパンマンの音楽を作曲した作曲家)が還暦同窓会のために作詞・作曲した、「60歳の子どもたち(Boys and Girls on the 60th street)」という歌を皆で歌いました。
 その歌は一足先に東京で行われた東京支部還暦同窓会で初披露され、東京支部の仲間達がレコーディングしました。その時の動画がYou Tubeに投稿されていたので貼り付けておきます。
 同窓生の贔屓目ですが(^^;)、けっこういい曲ですよ。(^_-)

  http://www.youtube.com/watch?v=0v-Jaf-8Hhw

1331. 「明りを灯す人」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/18(水) 10:36:05
・「明りを灯す人(SVET-AKE)」アクタン・アリム・クバト監督・主演、キルギス/フランス/ドイツ/イタリア/オランダ、2010年
 「キルギスから届いた宝物のような映画」というキャッチコピーどおりの、愛すべき佳作です。特に主演も兼ねているアクタン・アリム・クバト監督が、朴訥とした風貌と演技で実にいい味を出しています。(^o^)v
 キルギス共和国は中央アジア天山山脈の麓にある山岳と草原の国で、ソ連の崩壊によって1991年に誕生しました。この国はモンゴル系遊牧民の国なので、本作に登場する風景や風俗・習慣を観ると、モンゴル映画と同様に何となく魂の故郷のようなものを感じます。
 そして本作や「天空の草原のナンサ」(ビャンバスレン・ダバー監督)などを観ると、本当の大自然は人間にとって非常に厳しいものであり、現代の日本の都会人が憧れる「里山」とか「森林」は、動物園で飼育されている猛獣のように、実は人間に害がないように管理された「人工的な自然(^^;)」であることがよくわかります。

  http://www.bitters.co.jp/akari/

1330. 「灼熱の魂」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/16(月) 12:49:11
・「灼熱の魂(INCENDIES)」ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、カナダ/フランス、2010年
 一度観たら決して忘れられないほど衝撃的な作品で、若い時に観たらトラウマになりそうな内容です。(~o~) レバノン出身で、カナダ在住の劇作家ワジ・ムアワッドの同名戯曲の映画化ということですが、このものすごい内容の作品を舞台で演じたというのは本当に驚きです。
 作品の背景にレバノン内戦があり、そのことを知らないと内容をよく理解できないところがあります。しかし現在のシリア紛争を見ていると、この作品のようなことが起こっても決して不思議ではないというリアリティがあります。
 「サラの鍵」や「黄色い星の子供たち」は第二次世界大戦の時のホロコーストを背景にしていて、そのことを知らないと内容をよく理解できないところがあります。しかし同じアジアでありながら、中東の歴史よりもヨーロッパの歴史の方をよく知っていて、「サラの鍵」や「黄色い星の子供たち」よりも本作の方が理解できない部分が多く、登場人物に感情移入しづらいというのは、何となく恥ずかしい気がします。
 これは小さい頃から刷り込まれたアジア軽視・欧米重視の偏見を如実に反映していて、大いに反省されられました。

  http://www.moviecollection.jp/movie/detail.html?p=1934

1329. 「珈琲とエンピツ」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/13(金) 19:47:20
・「珈琲とエンピツ」今村彩子監督、日本、2012年
 以前から観たいと思っていた「珈琲とエンピツ」を、伏見ミリオン座の最終日、最終上演回に何とか間に合って観てきました。(^o^)/
 そして嬉しいことに、最終日ということで舞台挨拶をされた今村彩子監督と一緒に記念写真を撮らせていただきました。
 いやぁ、今村監督は予想以上に美人でチャーミングで、すっかりファンになってしまいました。でもせっかく今村監督と一緒に記念写真を撮ったというのに、仕事の途中で抜け出して行ったため、髭面のホームレスみたいな風貌なのが実に残念!p(ToT)

 それから地元名古屋での最終上演のせいか、観客の中に今村監督のお父上がいらっしゃいました。舞台挨拶をしている今村監督の姿を観ながら、お父上が涙ぐんでいるのを見て、同じ年頃の娘を持つ父親として思わず目頭が熱くなってしまいました。(;_;)
 ちなみに本作の主人公である太田さんの姿を観ていると、どうしても昔からのネット仲間にしてカフェバー「しゅわしゅわ」のマスター、我等がせんべえさんとダブって見えてしまいます。実際、年を取ってからの腹の膨らみ具合まで、実によく似てます。(^^;)

  http://www.shuwa-shuwa.net/main/top.html

1328. 「黄色い星の子供たち」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/12(木) 12:08:20
・「黄色い星の子供たち(La Rafle)」ローズ・ボッシュ監督、フランス/ドイツ/ハンガリー、2010年
 「サラの鍵」(ジル・パケ=ブレネール監督、フランス)と同じ歴史的事実を題材にした作品です。ストーリー性を重視した「サラの鍵」と違って、出来るだけ史実に忠実な作品にすることを重視しているようです。そのため淡々とした演出で派手さはないものの、製作者達の良心を感じる良質な作品になっています。
 この作品と「サラの鍵」の両方を観ると、1942年にドイツ占領下のパリで起きたユダヤ人一斉検挙という暴挙を立体的に理解することができると思います。
 それにしてもジャン・レノは、豪快なイタリア人を演じたり、寡黙で純情な殺し屋を演じたり、傲慢な悪役を演じたり、良心的なユダヤ人を演じたり、ドラえもんを演じたりと(^^;)、演技の幅がやたらと広い。
 これもモロッコ・カサブランカ出身のスペイン系アンダルシア人で、かつフランス国籍という複雑な経歴の持ち主だからでしょうか。

  http://kiiroihoshi-movie.com/pc/

1327. 「ぼくのエリ」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/09(月) 10:26:31
・「ぼくのエリ」トーマス・アルフレッドソン監督、スウェーデン、2008年
 ここのところやたらと忙しく、ゆっくり映画を見る暇がありせんでした。しかし、せわしなく映画を見る時間だけは無理やり作って(^^;)、数本の映画を観ました。この作品は僕が偏愛するヴァンパイア物で、しかも優れた児童向け作品を輩出する北欧の作品なので、時間を無理やりひねり出して観ました。
 子供のヴァンパイア物といえば、萩尾望都の極めつけの名作「ポーの一族」と比較してしまうので、マンガマニアとしてはどうしても見る目が厳しくなってしまいます。
 また原作を知るものとしては、日本の配給元が勝手に付けた「200歳の少女」という副題はいただけません。(~o~) 原作の設定では、ヴァンパイアのエリは”少女”ではなく、ヴァンパイアになる時に去勢されて中性的になった少年です。そして主人公の少年オスカーとの間に少年愛的な友情が芽生えるという、まさにポーの一族を連想させるような内容なのです。
 このことを暗示するエリの着替えシーンは、映倫の関係かボカシがかかっていて肝心の部分(^^;)が見えず、原作を知らなければ何を暗示しているのかわかりません。
 とはいうものの、全体としては良くできた作品です。特に体温の低い非ハリウッド的な演出は、アキ・カウリスマキファンの僕としては好感が持てました。
 忙しい最中に、無理やり時間を作って観た甲斐はありました。(^o^)v

1326. Re[1324]:SSDのクラッシュ 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/04(水) 13:46:41
>通りすがり(^^;;さん
>>SSD・・・いいですよね。
>>すべてのHDD換装したくなります(^^;;
 予想以上に良かったですね。ファイルの入出力が中心の処理にはけっこう効果が高いようです。(^o^)v
>>ただHDDと違ってクラッシュの場合、まったく復旧する物理的方法がないのが難点かもしれません。。ですので、
>>SystemRescueCd
>>http://www.sysresccd.org/SystemRescueCd_Homepage
>>などでイメージバックアップを・・・がいいかもしれませんね(^^;;
 なるほど、こんな便利なサイトもあるんですね。
 今は、外付けHDDにlinuxのユーザー領域をほぼまるごとバックアップしてますよ。Windowsと違ってlinuxには認証という馬鹿げた手間(^^;)がないので、OSの再インストールは比較的簡単ですね。
 そもそもFedoraは半年に1回はメジャーバージョンアップがあるので、OSの再インストールとユーザーデータのリストアはけっこう慣れているんですよ。(^^;)v

1325. Re[1324]:linuxマシンのバージョンアップ 投稿者:通りすがり(^^;; 投稿日:2012/07/03(火) 17:31:46
ご無沙汰しております。
お疲れ様です。。

SSD・・・いいですよね。
すべてのHDD換装したくなります(^^;;

ただHDDと違ってクラッシュの場合、まったく復旧する物理的方法がないのが難点かもしれません。。ですので、
SystemRescueCd
http://www.sysresccd.org/SystemRescueCd_Homepage
などでイメージバックアップを・・・がいいかもしれませんね(^^;;


>とものりさん

>> 現在、毎年恒例のPCのハードウェアとOSのバージョンアッブ中です。(^o^)/
>> 今回は、やんごとなき理由で一番古いlinuxマシンの一部の周辺装置を新しくする必要に迫られました。ところがマザーボードが古すぎて、新しい周辺装置を組み込めません。
>> そこで周辺装置に合わせてマザーボードを新しくし、それに合わせてCPUも新しくし、さらにそれに合わせて他の周辺装置も全て新しくし、この際だからとPCケースも新しくし、とどのつまりはPCをまるごと一式新しくするという、本末転倒なハメになってしまいました。(^^;)
>> 今回はCPUを64ビットにし、HDの代わりにSSDを使用し、DVD/CDドライブの代わりにBD/DVD/CDドライブを組み込みました。64ビットCPUは随分前から使っているので、これはそれほど目新しいことではありません。BD/DVD/CDドライブは、linuxマシンでBDを扱う機会が少ないのであまり恩恵はありません。今回のバージョンアップの目玉は何といってもSSDです。
>> linuxマシンで行なっているデータ処理のベンチマークテストから、処理時間の8〜9割がファイルの入出力処理だとわかっていたので、いつかはSSDを使いたいと思っていました。しかし、少し前までSSDは高嶺の花でした。ところが今は価格が少し下がり、ビット当たりの単価がHDの10倍程度まで安くなりました。そこで、思い切ってHDの代わりにSSDを使うことにしました。
>> 実際に使ってみたところ、PCの電源をONにすると、耳慣れたディスクの回転音もアクセス音もせず、サスペンドしていたかと思うほどの速度でOSが立ち上がり、かなり驚かされました!w('o')w そしてファイルを使って色々な処理をしたところ、これまでの2〜3倍の速度で音もなく処理を実行します。感覚的には、ちょうどRAM-DISKを使っているような感じです。
>> これは、紙テープからパンチカードに変わった時(^^;)とか、磁気テープからフロッピーディスクに変わった時(^^;)のような、ちょっとしたカルチャーショックでした。
>> 僕はデータのバックアップとして外付けHDを利用していますが、これからは内蔵マスストレージはSSDにし、HDは大容量のバックアップ専用装置という使い方にすることにしました。v(^_-)
>>

1324. linuxマシンのバージョンアップ 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/07/01(日) 11:31:42
 現在、毎年恒例のPCのハードウェアとOSのバージョンアッブ中です。(^o^)/
 今回は、やんごとなき理由で一番古いlinuxマシンの一部の周辺装置を新しくする必要に迫られました。ところがマザーボードが古すぎて、新しい周辺装置を組み込めません。
 そこで周辺装置に合わせてマザーボードを新しくし、それに合わせてCPUも新しくし、さらにそれに合わせて他の周辺装置も全て新しくし、この際だからとPCケースも新しくし、とどのつまりはPCをまるごと一式新しくするという、本末転倒なハメになってしまいました。(^^;)
 今回はCPUを64ビットにし、HDの代わりにSSDを使用し、DVD/CDドライブの代わりにBD/DVD/CDドライブを組み込みました。64ビットCPUは随分前から使っているので、これはそれほど目新しいことではありません。BD/DVD/CDドライブは、linuxマシンでBDを扱う機会が少ないのであまり恩恵はありません。今回のバージョンアップの目玉は何といってもSSDです。
 linuxマシンで行なっているデータ処理のベンチマークテストから、処理時間の8〜9割がファイルの入出力処理だとわかっていたので、いつかはSSDを使いたいと思っていました。しかし、少し前までSSDは高嶺の花でした。ところが今は価格が少し下がり、ビット当たりの単価がHDの10倍程度まで安くなりました。そこで、思い切ってHDの代わりにSSDを使うことにしました。
 実際に使ってみたところ、PCの電源をONにすると、耳慣れたディスクの回転音もアクセス音もせず、サスペンドしていたかと思うほどの速度でOSが立ち上がり、かなり驚かされました!w('o')w そしてファイルを使って色々な処理をしたところ、これまでの2〜3倍の速度で音もなく処理を実行します。感覚的には、ちょうどRAM-DISKを使っているような感じです。
 これは、紙テープからパンチカードに変わった時(^^;)とか、磁気テープからフロッピーディスクに変わった時(^^;)のような、ちょっとしたカルチャーショックでした。
 僕はデータのバックアップとして外付けHDを利用していますが、これからは内蔵マスストレージはSSDにし、HDは大容量のバックアップ専用装置という使い方にすることにしました。v(^_-)

1323. 「正当に怖がること」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/06/20(水) 10:41:46
 最近入手した「放射線および環境化学物質による発がん」(佐渡敏彦・福島昭治・甲斐倫明編集、医療科学社)に、非常に興味深いグラフが載っていました。それは科学的データに基いて推測したガンの原因の割合(左側)と、一般消費者が抱いているガンの原因の割合(右側)を円グラフで表して比較したものです。

 このグラフを見ると、「正当に怖がること」の難しさがものすごくよくわかります。そこでこのグラフを使って、当館の「放射線による発がん 解説12」を一部改訂しました。
 興味のある人は、ちらっと覗いてみてください。(^_-)

1322. 「遠くへ行きたい」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/06/17(日) 17:34:00
 今日(6月17日)の朝7時30分に中京テレビで放映された「遠くへ行きたい」という番組に、僕のハトコのホーロー看板収集家・佐溝力氏が出演しました。(^o^)/
 彼はホーロー看板収集家としてその方面では有名なので、マスコミでよく紹介され、テレビにもよく出演します。ところが根っから自然児の彼は、テレビも携帯電話もパソコンも持っていません。そういった”文明の利器(^^;)”には、まるっきり興味がないのです。
 そのため自分が出演したテレビ番組は一度も観たことがなく、周囲の人間が彼の代わりに観て、内容を彼に話してあげたりします。僕も、映画とスポーツ中継とニュース以外のテレビはほとんど観ないのですが、今回は彼の代わりに観ました。
 彼の出演時間は10分程度でしたが、内容はまずまずといったところでしょうか。(^_-)

  http://www.ytv.co.jp/tohku/

1321. 「放射線および環境化学物質による発がん」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/06/13(水) 12:17:40
・「放射線および環境化学物質による発がん—ほんとうに微量でも危険なのか?—」佐渡敏彦/福島昭治/甲斐倫明編著、医療科学社、2005年
 当館の「放射線による発がん——データ解析屋的解説」の原資料です。このコンテンツでは、インターネットにアップされたPDFファイル部分だけを解説しました。そのPDFは本書の第4章の一部だけなので、行きかがり上、全体を読まないとイカンだろうと思って本書を手に入れました。
 本書は医学研究者向けであり、一般人向けではありません。しかし放射線と環境化学物質の発ガン作用について、現段階でわかっていること——あるいはわかっていないことがほとんど全て網羅されています。そのため、できるだけ多くの専門家にに読んでいただき、その内容を我々一般人向けにわかりやすく解説していただきたい気がします。
 もし本書で用いられている統計学的な用語や概念の中で不明なものがあったら、僕に質問していただければ喜んで解説しますよ。(^o^)v

1320. 佐賀大学医学部附属病院での講演会 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/06/08(金) 10:01:55
 6月6日(水)に、佐賀大学医学部附属病院で久しぶりに講演会をしてきました。(^o^)/
 講演会をするとたいてい仕事の依頼が増えるので、フリーランスになってからはできるだけ引き受けないようにしてきました。でも今回は聴衆の半分が医師で半分が看護師だと聞いて、ついつい鼻の下を伸ばして引き受けてしまいました。(^^;)
 依頼先からもらったお題は「プロに聞く!〜大規模臨床研究のアウトカム算出方法〜」。幸い、僕の持ちネタの中にそれらしいネタがあったので、それをテキトーに披露してきました。
 んで、事前の約束に違わず聴衆の半分が看護師の上、若い女性医師もいて、しかも熱心に聞いてくれたので、非常に楽しくしゃべることができました。v(^_-)
 質疑応答も沢山あり、その中に「Fisherの直接確率計算の片側確率と両側確率の扱いについて」と、「一般化線形モデル(GLM)について」という、データ解析屋としては嬉しくなるようなコアな質問もありました。
 聞き手が熱心な講演会はしゃべっていて面白ですし、こちらにも色々と参考になる質問が出たりするので、やりがいがあって楽しいですね。(^o^)v

1319. 徳川園 山車揃え 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/06/03(日) 17:54:12
 今日(6月3日)は徳川園で山車揃えがあったので観てきました。(^o^)/
 これは筒井町、古出来町、新出来町、中ノ切町の山車が徳川美術館前広場に集まり、からくり人形を披露する恒例行事です。去年の「木偶師(でくし)二代目 萬屋仁兵衛の世界」で、萬屋仁兵衛氏がからくり人形のことを詳しく説明してくれたので、今年は例年以上に興味深く観ることができました。

 山車揃えが終わった後、筒井町まで戻る山車について歩きました。筒井町は天王祭の真っ最中のため、祝い事のあった家の前で山車が止まり、からくりを披露してお祝いをしたり、氏子総代らしき人達が仰々しい挨拶をしたりしていました。
 以前、海部郡で区長をしていた時に、氏子総代さん達と一緒に神社の大祭の企画・運営をしたことがあります。その時の苦労を思い出し、お祭りは企画・運営する側ではなく、単なる野次馬で参加するのが一番楽しいもんだと、しみじみ思ったりしました。(^^;)
  http://www.nga.or.jp/tokugawa/2012/05/10/%E5%BE%B3%E5%B7%9D%E5%9C%92%E3%80%80%E5%B1%B1%E8%BB%8A%E6%8F%83%E3%81%88.html

1318. 「MY HOUSE」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/06/01(金) 17:53:10
・「MY HOUSE」堤幸彦監督、日本、2011年
 愛知県出身の堤幸彦監督が、ホームレスを題材にし、名古屋を舞台にして撮った作品です。
 「トリック」や「20世紀少年」等の娯楽作品で有名な堤監督が、これほど作家性の強い、小劇場向けの作品を撮るとは意外でした。w('o')w もちろん突っ込み不足のところは多々ありますが、堤監督がこういった作品にチャレンジしたことは、小劇場ファンの僕としては大歓迎です。(^o^)/
 本作は、名古屋が誇る”路上芸人”えぐれ笹島さんと、ホーロー看板収集家である再従兄弟の佐溝力氏と一緒に観ました。えぐれ笹島さんは、自らもホームレスのような生活を体験し、ホームレスを支援するために、ホームレスの人達を相手に路上でライブ活動をしています。
 佐溝力氏は主演のいとうたかおの昔からのファンであり、自らもアングラ・フォークソングを唄い、若かりし頃は日本全国放浪の旅をしていました。そして僕はといえば、笹島日雇い労働者組合の支援者のひとりです。
 つまりこの作品を製作した人達よも、むしろ題材になっているホームレスに近い面々なのです。(^^;) このため、どうしても突っ込み不足と感じてしまうのは致し方ないところでしょう。
 もっともえぐれ笹島さんは、本作に自分のテリトリーが出てきたり、知り合いのホームレスを連想させるような人物が出てきたりしたので、けっこう喜んでいました。v(^_-)

  http://myhouse-movie.com/

1317. 桂歌丸・春風亭小朝二人会 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/29(火) 10:45:50
 昨夜(28日)は、中京大学文化市民会館で行われた「桂歌丸・春風亭小朝 二人会」を聴いてきました。(^o^)/
 演目は、前座の林家うん平が芝居噺の古典「七段目」、柳貴家雪之介が珍しい伝統的大道芸「水戸大神楽」、桂歌丸が廓噺の名作「紺屋高尾」、春風亭小朝が珍しい芝居噺の「中村仲蔵」でした。観客に高齢者σ(^^;)が多いせいか、渋い人情噺と芝居噺が中心でした。
 「中村仲蔵」は、人情噺が好きな僕も初めて聴いた噺で、かなり新鮮でした。芝居噺は歌舞伎の忠臣蔵を知らないと内容がピンとこないので、落語通相手か、高齢者相手でないと演じられないのでしょう。
 水戸大神楽は今では珍しくなった日本の古典的大道芸で、お染ブラザーズ(染の助・染太郎)の染太郎師匠が亡くなって以来、久しく観ていなかった曲芸です。この伝統的大道芸を伝承している若い芸人がいることを知って、何となく嬉しくなりました。(^o^)v

  http://www.bunka758.or.jp/img/scd01/20120528.pdf

1316. 「”私”を生きる」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/27(日) 00:35:03
・「”私”を生きる」土井敏邦監督、日本、2010年
 今、東京と大阪で起きている”教育現場での言論と思想の統制”に抗い、子供達の人権と教育現場での自由と民主主義を守るために、権力による弾圧と闘っている3人の教師たちの姿を見つめたドキュメンタリー映画の傑作です。
 学校嫌いで、勉強嫌いで、教育嫌いなへそ曲がりな僕ですが(^^;)、これまでに観た教育関係の映画の中で最も感銘を受けた作品であり、”学校教育”とは別の意味で、真に教育的な(^^;)作品だと確信しました。
 本作の上演後、3人の教師のひとりである根津公子さんが舞台挨拶をされ、その後で根津さんを囲んで1時間ほど色々な話を聞かせていただきました。根津さんは実に魅力的な人で、僕はすっかりファンになってしまいました。
 こういう優れて教育的な人格者に”教師失格”という烙印を押したがる東京都教育委員会(当時の教育委員長は、あの将棋棋士の米長邦雄氏でした)という組織は、反面教師という意味では、まさに”教育的”ではあるでしょう。(^^;)
 「田中さんはラジオ体操をしない」(マリー・デロフスキー監督)の田中さんと同様に、己の良心の声に素直に従い、反体制、反権力、反経済優先主義、反ビジネス中心主義的な生き方を貫いている人達がまだまだしぶとく生き残っていることに大いに共感し、またしても大きな勇気をもらいました。(^o^)v

  http://www.doi-toshikuni.net/j/ikiru/

1315. 「懺悔」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/24(木) 10:32:44
・「懺悔(ПОКАЯНИЕ)」テンギス・アブラゼ監督、グルジア/ロシア、1984年
 旧ソ連時代のグルジアで製作され、スターリン独裁政治を批評した内容のため、旧ソ連では上映禁止になっていた幻の作品です。お気に入りのクストリッツァ作品(「アンダーグラウンド」等)からドタバタとごった煮感覚とサッカーを取り去り、代わりに形而上的思考とクラシック音楽を入れた感じの作品であり、予想以上の傑作でした。w('o')w
 本作の2年後の1986年に同じグルジアで製作された作品が、有名なカルト映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」(ゲオルギー・ダネリヤ監督)です。本作を観て、「不思議惑星キン・ザ・ザ」の裏に隠された意味がようやく理解できた気がしました。
 「不思議惑星キン・ザ・ザ」は、表向きは西側諸国の貪欲さを皮肉ったソ連のプロパガンダ映画という皮を被っていながら、実はロシアに侵略され、支配されているグルジアの惨状を訴えた作品であることが本作を観るとよくわかります。
 寓話的ながら、スターリン独裁政治を正面から批判した本作が上映禁止になったのを受け、「不思議惑星キン・ザ・ザ」はそれをもっとシュールにし、表向きはソ連のプロパガンダ作品とも受け取れるようにして、上映禁止になるのを避けたのではないかと思います。
 ペレストロイカからソ連崩壊の前夜に製作されたこれらの作品を観ると、当時のソ連とグルジアの社会の雰囲気を何となく感じ取ることができます。

  http://www.zaziefilms.com/zange/index2.html

1314. 「プリピャチ」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/21(月) 11:48:09
・「プリピャチ(ПРИП'ЯТЪ)」ニコラス・ゲイハルター監督、オーストリア、1999年
 ドキュメンタリー映画「いのちの食べ方」で有名なニコラス・ゲイハルター監督による、チェルノブイリ原発事故から12年後のプリピャチの町のドキュメンタリー映画です。プリピャチの町は原発から4kmほど離れた小さな町で、原発の周囲30km以内の立入禁止区域「ゾーン」にすっぽりと入っている「管理されたゴーストタウン」です。
 本作は、「いのちの食べ方」と同様に音楽もナレーションもなく、ただ淡々と風景を映し、被写体になった人達が話しているのを撮り続けているだけなので、予備知識がないと内容がほとんどわかりません。(^^;) そのせいか、これまでに観た多くのチェルノブイリ関係のドキュメンタリー映画の中では、最も客観的に観ることができました。
 本作を観て、ほとんどの人は、原発事故が人間社会と環境に与える影響の恐ろしさを実感するだろうと思います。しかしへそ曲がりの僕は、「科学シミュレーション 人類の消えた地球」というドキュメンターリで予想されていた通りに、ゾーン内が野生の自然状態に戻りつつあるのを観て感心しました。
 本作では描かれていませんが、実はゾーン内には生物学者のグループが住んでいて、ゾーン内の自然を観察しています。そして彼等は、貴重な野生生物の宝庫であるゾーンを保護するために、このままずっと人間には住んで欲しくないと願っているのです。
 地球の歴史から見ればこの程度の放射線量はわずかなものであり、生物界に与える影響は人類の存在に比べれば微々たるものです。「科学シミュレーション 人類の消えた地球」の最後で、”自然を保護するためには、ただ人類が席を譲りさえすれば良いのです”という印象的なナレーションが流れます。本作を観ると、そのナレーションの正しさを実感します。
 それから、プリピャチの町に自主的に戻ってきて、自然と共に暮らしている”自主帰還者”の老夫婦が、実にいい味を出しています。v(^_-)

  http://www.uplink.co.jp/pripyat/

1313. 「マンデラの名もなき看守」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/18(金) 19:12:15
・「マンデラの名もなき看守(Goodbye Bafana)」ビレ・アウグスト監督、ドイツ/フランス/ベルギー/南アフリカ/イタリア/イギリス/ルクセンブルク、2007年
南アフリカ史上初の大統領であるネルソン・マンデラが、27年間も投獄されていた時のエピソードを基にした作品です。長くて複雑な物語をたった2時間でまとめるのは至難の業ですから、突っ込み不足のところが多々あります。
 でも「ガンジー」(リチャード・アッテンボロー監督)や「孫文—100年先を見た男—」(趙崇基監督)と違い、リアルタイムで眺めていた事件がけっこう出てくるので、それなりに感慨深いものがありました。
 ガンディー翁やキング牧師と違って、マンデラ氏が暗殺されなかったのはつくづく奇跡的なことだったような気がします。

  http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=9052

1312. 「ヤン・ヴェリフのフィムファールム」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/14(月) 18:16:19
・「ヤン・ヴェリフのフィムファールム」アウレル・クリムト/ヴラスタ・ポスピーシロヴァー他監督、チェコ、2002年
 チェコの伝統的な人形アニメで、チェコ民話を基にした5つの物語のオムニバス作品です。チェコアニメらしい素朴でとぼけた感じがなかなかいい味を出していて、チェコ版「日本昔ばなし」といったところです。v(^_-)
 本作ではチェコの人気俳優であり、作家でもあるヤン・ヴェリフが案内人と語り手を務めています。これは昔話の形式として古くから世界中で用いられているもので、少し前のTVドラマ「ジム・ヘンソンのストーリーテーラー」などでも用いられていました。
 本作はそういった形式といい、内容といい、「ストーリーテーラー」とよく似た感じです。でも「ストーリーテーラー」が実写ドラマなのに対して、本作は人形アニメなので、より素朴で民話っぽい雰囲気が出ています。
 「マイブリッジの糸」のような少々観念的な作品を観た後で、本作のような素朴な作品を観ると、何となくほっとしますね。(^o^)

  http://www.ceskatelevize.cz/specialy/fimfarum/fimfarum1/frames.html

1311. 「マイブリッジの糸」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/09(水) 21:19:28
・「マイブリッジの糸」山村浩二監督、日本/カナダ、2011年(12分39秒)
 世界中から注目されている気鋭のアニメ作家、山村浩二の最新作です。映像詩的な作品であり、少々観念的すぎるような気がしますが、映像センスと音楽センスの鋭さはさすがです。
 本作では、J.S.バッハの「蟹のカノン」が印象的な使われ方をしています。
 音楽好きな人はよくご存知だと思いますが、この曲は1つの楽譜を最初と最後から同時に弾くことによってカノンになるという、バッハらしい技巧的な曲です。その構造が本作のモチーフと類似していることと、曲自体の神秘的な響きが、本作の印象を哲学的なものにしています。
 ちなみにバッハの音楽といえば、やはりタルコフスキーを思い出します。彼もバッハを好んで使い、「惑星ソラリス」におけるコラール前奏曲や、「サクリファイス」におけるマタイ受難曲などは、作品のイメージを決定的なものにしてしまうほど強い印象を残します。
 バッハは本当にスゴイです!p('o')

  http://www.muybridges-strings.com/

1310. ロンドンオリンピック男女ホッケー最終予選大会 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/06(日) 22:20:06
 昨日(5日)と今日(6日)は、ロンドンオリンピック男女ホッケー最終予選大会の決勝戦が岐阜県グリーンスタジアムで行われたので、”さくらジャパン(女子日本代表)”と”サムライジャパン(男子日本代表)”の応援に行って来ました!(^o^)/
 結果は、女子は優勝してロンドン・オリンピックへの出場権を手に入れ\(^o^)/、男子は準優勝で残念ながら出場連を手に入れることができませんでした。p(ToT)
 4年前のこの時期にも、同じ岐阜県グリーンスタジアムで北京オリンピック男子ホッケー最終予選大会が行われました。女子は最終戦の前に出場権を手に入れていたので、男子の大会だけが行われたのです。
 その時も同じように”サムライジャパン”の応援に行きましたが、やはり準優勝で出場権を手に入れることはできませんでした。(;_;)
 次はハンドボール女子日本代表チームの最終予選です!p('o') (男子チームはすでに最終予選で敗退しています(;_;))

1309. 「ル・アーヴルの靴磨き」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/03(木) 20:49:18
・「ル・アーヴルの靴磨き(LE HARVE)」アキ・カウリスマキ監督、フィンランド/フランス/ドイツ、2011年
 作品の冒頭、初老のオジサンと若者が無愛想な顔で突立っているシーンを見ただけで、「あ、カウリスマキだーっ!(^O^)/」と嬉しくなってしまいました。何しろ「街のあかり」以来、5年ぶりのカウリスマキ監督の新作なんですよ!
 でもこの作品、独特の無愛想なストーリー展開と、やたらと体温の低いユーモア感覚は相変わらずながら、珍しく最後はO・ヘンリーのような心温まるハッピーエンドです。徹底して無愛想でクールなエンディングだった初期の作品と違い、最近の彼の作品はこういった傾向が強いようです。
 でもカウリスマキ作品のミューズ、カティ・オウティネンの不条理なまでに無表情な顔を見ていると、カウリスマキの世界にどっぷりとつかれる嬉しさに、正直言ってストーリーなんてどうでもよくなってしまいます。(^^;)
 黒澤明作品の志村喬、小津安二郎作品の笠智衆、イングマール・ベルイマン作品のリブ・ウルマン等々、その監督の作品にはなくてはならない俳優がいます。カティ・オウティネンはまさにカウリスマキ作品の顔であり、彼女が出ていないカウリスマキ作品は何となく気の抜けたビールのような感じです。
 また主人公の靴みがきのオジサンの名前がマルセル・マルクスであり、その妻の名前がアルレッティときたので、「あぁ、やっぱりカウリスマキだぁ!p(ToT)」と随喜の涙を流して喜んでしまいました。「マルセルとアルレッティ」とくれば、レトロな映画ファンは、古典的名作「天井桟敷の人々」のマルセル・カルネ監督と、その作品でヒロイン・ガランスを演じた、カルネ監督お気に入りの女優アルレッティを連想するはずです。
 いかにも古き良き映画をこよなく愛するカウリスマキ監督らしい粋な命名であり、本作のいたる所に先達の映画人に対する敬愛の念が感じられます。
 やっぱりカウリスマキはいいですねぇ!(^o^)/

  http://www.lehavre-film.com/

1308. 「モンゴル」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/05/01(火) 16:35:36
・「モンゴル(Mongol)」セルゲイ・ボドロフ監督、ドイツ/ロシア/カザフスタン/モンゴル、2007年
 チンギス・ハーンの半生をテーマにし、監督はロシアのセルゲイ・ボドロフ、主演は日本の浅野忠信、共演は中国の個性派俳優スン・ホンレイとモンゴルの新星クーラン・チュラン、製作はドイツとロシアとカザフスタンとモンゴルの共同という、ちょっと変わった作品。
 浅野忠信は日本映画界では非常に特異な存在感のある俳優ですが、モンゴルの雄大な大自然の中で観るとオーラが薄く感じられ、野性味溢れるスン・ホンレイと、バイタリティ溢れるクーラン・チュランの存在感に負ける感じです。(^^;)
 モンゴルの雄大な草原で繰り広げられる合戦シーンは、さすがに迫力があります。でも年を取るにつれて、人をめったやたらと殺しまくった”英雄”の物語よりも、「天空の草原のナンサ」(ビャンバスレン・ダバー監督)のような、健気な庶民の物語の方が好きになりつつある、天邪鬼で小心者の私めであります。σ(^^;)

  http://www.mongol-movie.jp/

1307. 「孫文—100年先を見た男—」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/04/27(金) 10:39:36
・「孫文—100年先を見た男—」デレク・チウ(趙崇基)監督、中国、2006年
 ”中国革命の父”孫中山(スン・ヂョンシャン、孫文)が9回目の武装蜂起に失敗して、マレーシア・ペナンに亡命していた時のエピソードを映画化した作品です。
 彼には中国に3人の妻——盧慕貞(ルー・ムージェン)、陳粹芬(チェン・ツイフェン)、宋慶齢(ソン・チンリィン)——がいて、日本にも1人の妻——大月薫——がいましたが、この作品は陳粹芬との愛を中心にした恋愛映画といった感じです。
 作品の冒頭、孫中山と梅屋庄吉(日本における彼の支援者であり、日本で映画産業を始めた事業家)の日本語の会話が流れます。でも孫中山の日本語よりも、梅屋庄吉(役の役者)の日本語の方が中国なまりが強いのには笑ってしまいました。(^^;)

1306. 「自然を理解するために」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/04/25(水) 09:45:31
・「自然を理解するために —現代の自然科学概論—」海部宣男/星元紀共著、放送大学教育振興会、2012年
 本書は放送大学の教材で、「日本語からたどる文化」と並んで、最近の放送大学の中でかなり気に入ったもののひとつです。本書を読むと科学と技術の違い、「科学」は「science」の良い翻訳語ではないこと、「科学技術」という言葉が日本独特のものであること、科学と疑似科学・似非科学の違いなど、科学の基本的なことがよくわかります。
 現代は科学が高度に発達し、あまりにも細分化し専門化してしまったせいで、一般人にとっては科学と疑似科学・似非科学の区別がつきにくい状況になっています。
 そこで科学に興味のある人はもちろん、興味のない人も(^^;)、本書に書かれている事柄をある程度知っておくと、疑似科学・似非科学に騙されず、現代社会の色々な問題を考える上で参考になると思います。(^_-)

1305. 「残された日々」 投稿者:とものり [URL] 投稿日:2012/04/23(月) 10:34:54
・「残された日々(Remaining Days)」サイモン・オリビエ・ファクトー監督、カナダ、2009年
 カナダのサイモン・オリビエ・ファクトー監督が撮った8分27秒のショートフィルム。カナダはフランス文化圏のせいか、フランス映画のようなエスプリとほろ苦いユーモアとペーソス、そして人生を感じさせる佳作です。
 ”フランス映画には人生がある”という古い格言と同様に、”カナダ映画にも人生がある”ようです。
 本作の3年後に公開されたアメリカ映画「最高の人生の見つけ方」(ロブ・ライナー監督)は、テーマといいストーリーといいエピソードといい、本作をパクったものだと思います(外国のマイナー映画をパクるのはハリウッドの得意技なのです凸(-"-))。
 でも「最高の人生の見つけ方」の方はジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという名優を配し、2時間もかけてそれらしく見せようと苦労しているにもかかわらず、たった8分の本作の方がシャレていて、キレがあり、しかも深い!v(^_-)

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