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【第6章 JPEGファイル】

6.1 概要

JPEG(Joint Photographic Experts Group)は、Joint Photographic Experts Groupが開発した画像圧縮技法を用いて画像を保存するためのフォーマットですが、厳密な定義がされておらず、ファイルフォーマットとしては不完全なため、画像ファイルのフォーマット名というよりも画像圧縮技法の名前ととらえた方が適当です。 JPEGはISO(国際標準化機構)とITU-T(旧CCITT、国際電信電話諮問委員会)の合弁グループで、主として写真画像の圧縮技術の定義と、電話・ラジオ・テレビ等の通信機器の標準基準を設定することを目的として設立されました。 JPEGが定義した圧縮技法は複数の圧縮法を組み合わせたもので、その中心となっているものは16M色ダイレクトカラー画像に対する非可逆的圧縮法です。

このJPEG圧縮技法を採用した画像ファイルフォーマットの中で、現在最も一般的なものはJFIF(JPEG File Interchange Format)で、単に「JPEGファイル」と言えば、慣習的にJFIFファイルを指すことになっています。 JPEG圧縮技法を採用したものには、JFIFの他にも前の章で説明しましたTIFF6.0のJPEG-TIFFがありますが、ここではJFIFを中心にして説明することにします。

ちなみに動画の圧縮保存を目的として開発されたMPEG(Motion Pictures Experts Group)は、このJPEG圧縮を応用したものです。(と言うよりも、JPEGはもともと動画の圧縮保存の一段階として開発されました) もひとつちなみに、JPEGの委員長としてJPEG圧縮技法をまとめる際の中心となったのはNTT情報通信研究所所長の安田浩氏で、氏はその功績によって1996年度エミー賞の科学技術賞を受賞しています。

(1) ファイル拡張子

「.JPEG」または「.JPG」または「.JFIF」または「.JIF」。 JFIFが開発される以前の各種のJPEGフォーマットが「.JPG」を使用していたため、JFIFの場合も慣習的に「.JPG」が使われていますが、JFIFは「.JFIF」または「.JIF」としてはっきり区別することが推奨されています。

(2) 用途

JPEG圧縮は写真画像の圧縮保存を目的として開発されたもので、この圧縮技法を用いた画像データ交換用のファイルフォーマットとして、C-Cube MicrosystemsのEric Hamiltonによって開発されたのがJFIFです。 JFIFは主として写真画像を保存したりデータ交換したりする場合の、標準的なフォーマットになっています。

(3) 開発者

JPEG圧縮技法はJPEG(Joint Photographic Experts Group)が開発して、同組織が著作権を保有し、JFIFはC-Cube MicrosystemsのEric Hamiltonが開発して、C-Cube Microsystemsが著作権を保有しています。

(4) 特徴

(5) 独断と偏見の短評

JPEG圧縮技法の特徴は、何と言っても色数の多い画像を保存する場合の高圧縮性で、この圧縮法を用いたJFIFは現在のところ16M色の画像データを取り扱う場合の標準形式になっています。 そして写真画像を保存した場合に最も画像の劣化が少ないという特徴により、デジタルカメラの画像保存形式としても用いられることが多く、写真をデジタル画像として保存する場合の、事実上の標準形式になりつつあります。

現在のところJPEG圧縮技法は圧縮と展開が遅いという欠点を持っていますが、もともとソフトウェアによるサポートよりもハードウェアによるサポートに主眼を置いて開発された技法なので、近い将来にはJPEG処理専用のルーチンを組み込んだグラフィックエンジンが今以上に一般化すると思われます。