玄関マンガと映画の部屋作品紹介コーナー思い出の虫干し

○昭和60年代前半(1980年代後半)

昭和60年代前半つまり1980年代後半になりますと、様々な分野にマンガが進出し、経済・歴史・宗教・科学の解説書など、どんなものでもマンガになる時代となります。 マンガというメディアはありとあらゆるところに浸透し、まるで空気のような存在となったのです。 この時期には『少年ジャンプ』の発行部数が500万部を越え、「鉄腕アトム」の単行本の総数が1億冊(色々な出版社)を越え、「ドラえもん」の単行本が7000万部(同一出版社)を突破するという、驚くべき状況になってきます。 またコンピュータゲームの爆発的な普及により、マンガとアニメとゲームとが三位一体となってブームを盛り上げる傾向が出てきました。

僕は引き続きマイナーな分野を漁り、掘り出し物と有望な新人の発見に喜びを見い出すという、ますますいやらしい好事家となっていました。


この時期は印象に残った作品があまり多くなく、孫悟空のパロディで始まり、SF空手アクション物になっていった鳥山明の「ドラゴンボール」、やはりSF空手アクション物の代表的作品、武論尊原作・原哲夫絵の「北斗の拳」、学園コメディから空手アクション物に変化していった、蛭田達也の「コータローまかりとおる!」、ギャグっぽい空手物、前川たけしの「鉄拳チンミ」、 メチャクチャくさいセリフを平気で連発した特異なアクション根性マンガ、車田正美の「聖闘士星矢」、オカルティックなサイキックマンガのはしり、荻野真の「孔雀王」、サッカーブームを先取りしたサッカーマンガ、高橋陽一の「キャプテン翼」、リーダーのキャラクターがなかなか良かった、吾妻ひでお調のナンセンスギャグマンガ、えんどコイチの「ついでにとんちんかん」、 アクションコメディから一転して、動物ギャグを描いてヒットした小林まことの「What's Michael?」、時折ギャグタッチを交える軽快で洗練されたタッチがユニークだった、たがみよしひさの「軽井沢シンドローム」、グルメブームを反映した料理マンガで、”まったりとした”という意味不明な形容語を流行させた、雁屋哲原作・花咲アキラ絵の「美味しんぼ」、同じく少年向けスポ根的料理マンガ、寺沢大介の「ミスター味っ子」、 ”茶魔語”なる魔可不思議な言語を駆使する、徹底したオゲレツギャグマンガ、小林よしのりの「おぼっちゃまくん」、パロディストたる作者の本領をいかんなく発揮したナンセンスギャグマンガ、相原コージの「コージ苑」、ナンセンスかつ不条理なギャグでユニークな作風を完成した不条理ギャグマンガ、吉田戦車の「伝染るんです」、 ヒロインの性格が秀逸な、お嬢様ブームをパロったラブコメマンガ、鈴木由美子の「白鳥麗子でございます!」、お父さんのキャラクターが傑作で、久しぶりに大笑いしたハチャメチャ少女ギャグマンガ、岡田あーみんの「お父さんは心配症」、ごく普通の少女のごく普通の日常をきめ細かく描いて大ヒットした生活ギャグマンガ、さくらももこの「ちびまる子ちゃん」、「ぼく地球(タマ)」という通称までできたメルヘンチックなSFファンタジー、日渡早紀の「ぼくの地球を守って」、 作者自身3度目のマンガ化となる、「ファウスト」を下敷きにした未完のSFマンガ、手塚治虫の「ネオ・ファウスト」、複雑な日本経済の状況をわかりやすく、かつドラマチックに描いた経済マンガ、石ノ森章太郎の「マンガ日本経済入門」、同じく経済をテーマとした社会風刺マンガ、いしいひさいちの「経済外論」、徹底したパロディとナンセンスがすごく気に入ってしまった、しりあがり寿の「エレキな春」や「おらあロココだ!」など一連の作品、 この人の作品、ものすごく気に入ってるのに、今は描いてないみたいで実に残念な青春ギャグマンガ、松本猛の「すてきな青春」、難しいテーマに堂々と真正面から挑戦し、次々と問題作を発表している女流作家、石坂啓の「キスより簡単」や「正しい戦争」など一連の作品、マンガとそれに関連したギョーカイの内幕を描いて、マンガマニアに大いに受けたエッセイ風マンガ、いしかわじゅんの「フロムK」、メカを中心とした独自のSF世界を創り上げ、一部の熱狂的なファンを持つ士郎正宗の「ブラックマジック」や「アップルシード」や「ドミニオン」など一連の作品、 単純な設定なのに、常に一定以上の水準を保っているプロ根性には驚かされる高橋留美子の「らんま1/2」、この作者とは興味を持つ分野が似てるので、嬉しくなってしまう歴史SFマンガ、星野之宣の「ヤマタイカ」、昔、こういうテーマのマンガが描きたくて、資料を集めたことがあり、読んだ時は”やられたなぁ…!”と思った伊藤智義原作・森田信吾絵の「栄光なき天才たち」、 この人の作品を読んだ時は本当にぶったまげたなぁ、ものすごく可憐で可愛い絵に、ムチャクチャ露骨で明るくワイセツな内容のギャグマンガ、原律子の「電動バナナ倶楽部」や「改訂版大日本帝国萬画」など一連の作品、原作のマンガよりも押井守監督によるアニメの方が印象的な、ゆうきまさみの「機動警察パトレイバー」、初期の手塚治虫を思わせる、雄大で起伏の激しいストーリーを持つSFマンガ、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」……う〜ん、やっぱりマイナーな作品が多いですね〜!(~.~)