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○IETF(Internet Engineering Task Force、アイイーティーエフ)

TCP/IPの標準化を進めている、インターネットの研究機関のことです。 ここでまとめられた規格はRFC(Request For Comments、アールエフシー)と呼ばれる文書にまとめられ、インターネット上で公開されます。

○SMTP(Simple Mail Transfer Protocol、エスエムティーピー)とPOP(Post Office Protocol、ポップ)

SMTPはTCP/IPを利用して電子メールを送受信するための簡易メール転送プロトコルで、UNIXのメールコマンドであるmailやelmなど、多くのメールプログラムで用いられています。 これは基本的にPeer to Peer形式LANで電子メールをやり取りするための簡易プロトコルであり、サーバー/クライアント方式のLANではもっと本格的な電子メール管理システムが必要です。 そのためのプロトコルがPOPで、LAN上でやりとりするメールを一括管理し、ユーザー別のメールボックスにメールを配送したり、SMTPを用いてメールを送受信したりします。 このように、POPを用いた郵便局(post office)役のサーバーのことを「メールサーバー」といいます。

インターネット上では、SMTPをサポートしていればどんなメールソフトでも相互に電子メールを送受信することができます。 例えばWindows95のExchangeからメールを送信し、それをUNIXのelmコマンドで受信することも可能であり、ユーザー各自が自分の気に入った電子メールソフト(メーラー)を使用することができます。

○MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions、マイム)

電子メールを用いて様々な情報を送受信するための規格で、IETFのE-mail Extensionsに関するワークグループの研究成果として、1992年に発表されました。 MIMEに準拠していれば、文字情報だけでなく、画像情報や音声情報などのバイナリデータも添付ファイルとして送受信することができます。

実際には、メールに含まれるデータの情報をヘッダ部分に付け加え、バイナリデータを特殊な方法で7ビットのテキスト文字に変換して送信し、受信側で、テキスト変換されたデータをヘッダ情報に基づいて元のバイナリデータに戻します。 このため送信側と受信側がMIMEに対応した電子メールソフトを使用していないと、データを正しく送受信することができません。 テキスト変換にはbase64などの方法が用いられますが、これはパソコン通信でお馴染みのテキスト変換ソフトISHと基本的に同じ原理です。

MIMEが決められる前は主にUUコード(UUencode/UUdecode)というテキスト変換法が用いられており、これはMIMEとは互換性がありませんので、 古いシステムのLANと新しいシステムのLANの間で電子メールをやり取りすると、たまにうまくデコードできずにトラブルを起こすことがあります。 そのような場合に、文字情報や音声情報を用いずに、身振りや手振りで情報を伝達する手法としてPantoMIMEという規格があり、マルセル・マルソーという業界標準が存在しますが、この規格に準拠するには非常に特殊な技術が要求されますので、電子メールではあまり用いられていません。

○NFS(Network File System、エヌエフエス)

1984年にSun Microsystems社が開発した、ネットワーク上でファイルシステムを共有するためのシステムで、UNIXネットワークにおける業界標準ファイル共有システムとなっています。 NFSではファイルシステムを公開するNFSサーバーと、そのファイルシステムをリモートマウントするNFSクライアントの間で、ネットワークを介したプロセス間通信によってデータをやり取りします。 その結果、NFSクライアント側では、自分のファイルシステムと全く同じ感覚でNFSサーバー上のファイルにアクセスすることができます。

Microsoftネットワークにおけるファイル共有システムは、NFSを参考にし、それと同様のシステムをSMBプロトコルを用いて実現したものです。 しかしこれはNFSとは互換性がありませんので、通常はUNIXネットワークとMicrosoftネットワークの間でファイルシステムを共有することはできません。 このためワークステーションとパソコンの間でファイルシステムを共有するには、パソコンLAN上でNFSを実現する「PC-NFS(ピーシー・エヌエフエス)」を利用するか、ワークステーション上でSMBファイル共有システムを実現する「Samba(サンバ、SMBをもじった名前)」というソフトウェアを利用する必要があります。

PC-NFSは普通の市販ソフトですが、Sambaはかの有名なGNUのフリーソフトです。 GNUのシンパであり、かつ市販ソフトを購入する資金のない僕は、当然、Sambaを愛用しています。(^^;)v

○GNU(GNU's Not Unix、グヌーまたはグニュー)

Richard Stallman(リチャード・ストールマン)によって設立されたFSF(Free Software Foundation inc.、エフエスエフ)が作っている、UNIX完全互換ソフトウェアシステムのことで、プロジェクト名を「GNUプロジェクト」といいます。 GNUプロジェクトは、gcc(GNUのCコンパイラ)、GNU Emacs(GNUのEmacsエディタ)、gawk(GNUのawk)、bash(GNUのシェル)など多くの優れたソフトウェアをリリースしています。

GNUは再帰的に定義された珍しい略語で、略語の説明文の頭文字が、またその略語になるようになっています。 このため、最初の「g」が何に由来するかは依然として謎のままです。 (英語のGNUとは牛に似た動物のことで、「ヌー」と発音します。 実はこれに引っかけたシャレなのです。(^_-))

FSFが提唱しているソフトウェアライセンスは非常にユニークで、FSFのソフトウェアは全ての人に無料で提供されますが、PDS(Public Domain Software、著作権を放棄したソフトウェア)ではなく、「ソフトウェアがそれ以上配布されることを妨げない」ことに同意する場合に限り、自由に使用できるというものです。 つまり自分で一人占めするのではなく、他人にも自由に配布し、配布された人がさらに他の人に配布するのを妨げないような人なら、自由に使っても良いという、MicrosoftやIBMの対極に立つ考え方です。 この考え方はFSFのGPL(General Public License)に規定されていて、それに基づく著作権表示が「Copyleft(コピーレフト)」です。 僕はFSFのシンパですので、僕が作ったソフトウェアにはこの「Copyleft」表示をすることにしています。(^^)v

なおGNU、CopyleftなどFSFのダジャレ的命名は、Richard Stallmanと親しい人の言によれば、「マサチューセッツ州ケンブリッジの南部に特有な、珍しい脳内寄生生物によって引き起こされた精神障害の結果」だということです。(^^;)

○FTP(File Transfer Protocol、エフティーピー)

TCP/IPを利用してコンピュータ間でファイルを転送するためのプロトコルで、このプロトコルをサポートするサーバーのことを「FTPサーバー」といいます。 FTPプロトコルを用いたファイル転送用のアプリケーションプログラムとしては、UNIXのftpコマンドや、MS-Windows用のWinFTPなどが有名です。 これらのプログラムを利用しますと、FTPサーバー上にファイルを転送したり(アップロード)、FTPサーバーから自分のコンピュータにファイルを転送したり(ダウンロード)できますので、FTPサーバーを仲介して、ネットワーク上の色々なコンピュータとファイルをやり取りすることができます。

ただしFTPサーバーにファイルをアップロードしたり、FTPサーバーからファイルをダウンロードしたりする場合、そのFTPサーバーにログインするためのIDと、FTPサーバーのディスク上でファイルを読み書きする許可をもらっておく必要があります。 しかし、誰でもが自由に使用できる共有ユーザーIDと共有ディレクトリがあると何かと便利なので、インターネットでは「anonymous(匿名)」あるいは「FTP」という共有ユーザーIDと、共有ディレクトリが使えるようになっています。 この共有ユーザーidでログインしますと、一応パスワードを尋ねてきますので、それには自分のインターネットアドレス(E-mail address)を答えるのがエチケットになっています。

○telnet(Telecommunication Network、テルネット)

TCP/IPを利用して、自分のコンピュータをネットワーク上の別のホストコンピュータの仮想端末として作動させるためのプログラムです。 このプログラムは単にホストコンピュータにリモートログインして、ユーザーが入力した文字をホストに送信し、ホストから送られた文字を画面に表示するだけの機能しかありませんので、ホストがサポートしているコマンドを知らないと何もできません。 また当然のことながら、目的のホストにログインするためのユーザーIDを持っていなければ、リモートログインすることはできません。

以前のインターネットではこのtelnetがほとんど唯一の通信ソフトであり、しかもサーバーはUNIXばかりでしたので、「UNIXを知らないとインターネットは利用できない」とまで言われていました。 しかし現在ではウェブ(World Wide Web、WWW)などの便利で簡単な通信ソフトが開発されていますので、一般のユーザーがtelnetを利用することはあまりありません。 しかし単純でプリミティブなソフトであるだけに、どんな状況でもたいてい通信することができ、ホストの機能をフルに活用できるため、「困った時のtelnet!」などと言われ、昔気質なUNIXネットワーカー(僕もその一人ですσ(^^;))には、今でもけっこう重宝がられています。

telnetと似たものに、アルミニウムの酸化を利用して金属酸化物を還元するテルミット、アメリカの通信衛星テルスター、晴れ乞い通信用のテルテルボウズ、今は昔のふるさと歌番組司会者ミヤタ・テルなどがありますが、さすがにそろそろネタ切れで、末期的ダジャレになってきたことは否めません。