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○メール(mail)とボード(board)

コンピュータ通信の世界では、「メール」と言えば普通の郵便のことではなく「電子メール」を意味し、「ボード」と言えば普通の掲示板のことではなく「電子掲示板」を意味します。 boardには「会議」という意味もありますので、色々な話題について色々な人が何やかやと話し合う、電子掲示板システムにふさわしい呼び名だと思います。 一方、boardには「板」という意味もあり、こちらは狭くて固くて融通のきかない、会社などの会議にふさわしい呼び名でしょう。(^^;)

ちなみにネットワーク上に構築された電子掲示板システムのことを「BBS(Bulletin Board System)」と呼び、以前は「パソコン通信ネット」と同じ意味で用いられていましたが、インターネットでも電子掲示板システムを持つサイトが増え、本来の意味で使われるようになってきました。

○書き込み(アーティクル、article)

ボード上に登録されたメッセージのことを、「書き込み」または「アーティクル(記事)」といいます。 パソコン通信ではメールと書き込みは基本的に同じような形式のものが多く、どちらも同じような処理をしますが、インターネットでは両者はかなり異なっていることが多いようです。

○レス(レスポンス、response)

メール書き込みに対する返事のことで、ボード上に登録された特定の書き込みに対して、返事や感想のメッセージを送信することを、「レスをつける」とか「レスする」などと言います。 レスはレスであることを明記するために、件名(題名)の先頭に「RE:」や「RES:」を付けるのが慣習です。 このため、それらの文字を自動的に付加する通信ソフトもあります。 インターネット用メーラーでは、返信メールの件名が自動的に「RE:<元のメールの件名>」となるものが多いようです。

レスをやたらと沢山付けるレスの王者を「レスボス」と呼び、これは、古代ギリシャの女流詩人サッフォーが、小アジア沿岸にあるレスボス島に少女達を集めて宗教結社のようなものを作り、そこで少女達と同性愛的パソ通に興じていたことに由来する、という説を唱える人がいますが、確かなことはわかっていません。

○相手先指定記号「>」

メール書き込みにおいてメッセージを伝えたい相手を表す記号で、「TO」と同じ意味です。 元々この記号はUNIXシステムの出力先切り替え記号からきていて、使い慣れるとけっこう便利です。 例えば「寿限無寿限無 五劫のすり切れ 海砂利水魚の水行末雲行末風来末 喰う寝る所に住む所 やぶら小路ぶら小路 パイポパイポパイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコナー ポンポコナーのポンポコピー 長久命の長助さん」宛に伝えたいメッセージであれば、件名中かメッセージの最初の行に、

>寿限無寿限無 五劫のすり切れ 海砂利水魚の水行末雲行末風来末 喰う寝る所に住む所 やぶら小路ぶら小路 パイポパイポパイポのシューリンガン グーリンダイのポンポコナー ポンポコナーのポンポコピー 長久命の長助さん

と書いたりします。

インターネットのメールでは、ヘッダ部分に送信者と宛先のメールアドレスが埋め込まれますが、メールアドレスを間違えて、間違った相手にメールを送ってしまった場合、本文中にもメールの相手と送信者の名前が書いてありますと、受け取った側が対応しやすくなります。 つまりメールのヘッダ部分は普通の郵便の封書の表書きに相当し、本文中にも宛先と送信者を書いておくことは、便箋中にも宛名と差出人を書くことに相当するわけです。 また本文部分しか送信されない電子メールシステムもありますので、本文中にも相手と送信者の名前を書く習慣をつけておきますと、トラブルが少なくなると思います。

○引用記号「>>」

メール書き込み中で他人の文章を引用する場合、引用記号を用いて引用であることを明確にするのが普通です。 この引用記号は、例えば、

>>世の中に金と女は仇なり (-"-)
>>早く仇に巡り会いたい (^^;)

などと用います。

引用記号としては「>>」以外にも色々な記号が用いられますし、これとは別の表記法もありますが、いずれにせよ引用であることを明確にすることがエチケット(ネットエチケット、ネチケット)です。 なお他人からもらったメール中の文章をボード上に引用する場合は、当然、相手の承諾が必要ですし、他人の文章を引用する場合は著作権に十分注意を払う必要があります。

○アップロード(upload)とダウンロード(download)

端末からホストコンピュータにデータを送信することを「アップロード」といい、逆に、ホストコンピュータから端末にデータを送信することを「ダウンロード」といいます。 このことから、ボード上に書き込みやファイルを登録することを「アップする」といい、ボード上に登録された書き込みやファイルを、ユーザーのコンピュータに保存することを「ダウンする」といいます。

○フリーウェア(freeware)とシェアウェア(shareware)

作者が無償で配布しているソフトウェアのうち、著作権を放棄していないソフトウェアのことを「フリーウェア(またフリーソフト)」といい、著作権まで放棄して、誰でもが自由に使うことのできる公共ソフトウェアのことを「PDS(Public Domain Software)」といいます。 日本の著作権法では外国と違って著作権を自由に放棄できないので、日本には原則としてPDSはありません。

フリーウェアに対して、自由に入手でき、自由に試用することはできるものの、正式に使用するには料金(フィー、fee)を支払う必要があるソフトウェアのことを「シェアウェア」といいます。 シェアウェアは、試用してみて気に入らず、それ以上使用しないのなら料金を支払う必要はありません。 シェアウェアの料金は市販のソフトウェアに比べますと格段に安く、しかもインターネットやパソコン通信を利用して支払うこともできますから非常に便利です。

フリーウェアもシェアウェアも、インターネットやパソコン通信を通して自由に配布されているため、よく混同されますが、シェアウェアはれっきとした商品ですから、料金を支払わずに使用していますと、ソフトウェアの不正コピーと同様、りっぱな犯罪になります。 シェアウェアのあるものは非常に出回りすぎていて、ユーザーがシェアウェアであることを知らずに使っている場合が往々にしてありますが、たいていのシェアウェアは、ヘルプなどにシェアウェアである旨が書いてありますので、自分が使っているソフトがフリーウェアかシェアウェアかわからない時には、一度、ヘルプを確認してみると良いと思います。

○シスオペ(SYSOP、SYStem OPerator)

通信システム全体を管理・運営する責任者のことで、インターネットの場合はWeb-masterがこれに相当します。 シスオペの作業は非常にたくさんありますので、たいていは数名の「サブシス(SUBSYS)」または「サブオペ(SUBOP)」という副管理者を置き、共同でネットを運営します。

○シグオペ(SIGOP、SIG OPerator)

「シグ(SIG、Special Interested Group)」とは、大手パソコン通信ネットのpc-van内に開設されていた、共通のテーマ(例えば同じ趣味)を持った人達が集まったサークルのようなもので、もうひとつの大手パソコン通信ネットのNIFTY-Serveでは「フォーラム(Forum)」と呼ばれます。 大手パソコン通信ネットにはこういったシグやフォーラムが沢山ありますが、草の根ネットと呼ばれる小さなパソコン通信ネットでは、ネットそのものがひとつのシグである場合もあります。

○ボードオペ(board operator)

ボードの管理・運営をする責任者で、主としてボードの盛り上げと、ボードにアップされた話題の交通整理役をします。 草の根ネットではひとつのシグがひとつのボードを使用することが多いので、シグオペと同じような意味で用いられることもあります。

○ROM(Read Only Member、ロム)

書き込みを読むだけで、自分からは書き込みをアップしないユーザーのことで、ROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリー)をもじった言葉です。 これに対して沢山の書き込みをアップし、積極的に活動するユーザーのことを「アクティブメンバー」といいます。 パソコン通信では、書き込みがなければボードが盛り上がりませんので、ROMは嫌われることが多いのですが、大勢のromの存在があるからこそ、アクティブメンバーも書き込みに熱心になるところがありますし、全ユーザーがアクティブになったら、書き込みの山に埋もれてしまうでしょうから、それなりに必要なメンバーではあります。

ROMとくれば、当然RAMを連想し、虎縞ビキニの電撃鬼娘が……といきたいところですが、このネタはLANのところで使ってしまったので、残念ながらもう使えません。

○DOM(Down Only Member、ドム)

パソコン通信ネットでは、たいていフリーウェアやシェアウェアアップしておくためのボード(ライブラリーボード)があり、それらを自由にダウンして使用できることが、パソコン通信の魅力のひとつになっています。 こういった、ソフトをダウンするためだけにパソコン通信をしているユーザーのことをDOMと呼びます。 普通の書き込みに比べますと、ソフトウェアはファイルサイズがかなり大きく、ダウンするのに非常に時間がかかりますので、DOMはROM以上に忌み嫌われることの多い存在です。 しかし、これもまたパソコン通信の利用形態のひとつであることは確かです。