玄関雑学の部屋雑学コーナー統計学入門

(4) 静注2コンパートメント持続注入モデル(点滴静注2コンパートメントモデル)

用量q0をtif時間の間に一定速度で持続静注し、血液区画と組織区画に分布して、徐々に体外に排出されるモデル。 (3)と同じ表14.3.2のデータにこのモデルを当てはめると、静注1コンパートメント持続注入モデルよりもうまく当てはまります。 (注1)

表14.3.2 持続静注後の血中濃度データ(tif=0.5)
時間(hr)00.1670.50.667 0.83311.523
血中濃度 00.5171.1750.6580.47 0.3990.3070.2890.213
図14.3.7 静注2コンパートメント持続注入モデルの模式図 図14.3.8 静注2コンパートメント持続注入モデルの血中濃度関数
○t ≦ tifの時
C1(t) = A{1 - exp(-αt)} + B{1 - exp(-βt)} (α > β)
C2(t) = C{1 - exp(-βt)} - D{1 - exp(-αt)}
○t > tifの時(T = t - tif)
C1(t) = A{exp(-αT) - exp(-αt)} + B{exp(-βT} - exp(-βt)}
C2(t) = C{exp(-βT) - exp(-βt)} - D{exp(-αT} - exp(-αt)}
q0 = 100        
     k12 = α + β - k21 - ke = 3.07684
  AUC(∞) = (A + B)tif = 2.46076
tmax = tif = 0.5   Cmax = C(tif) = C(0.5) = 1.11751   ClT = keVc = 40.6378
CSS = C(∞) = A + B = 4.92152   

(注1) 静注2コンパートメント持続注入モデルの微分方程式は次のようになります。

○t ≦ tifの時
… (1)
… (2)
○t > tifの時
… (1)
… (2)

表14.3.2のデータの0.5〜3時間の血中濃度を対数変換し、0.167〜3時間をβ相と考え、T=t-0.5として皮むき法によってパラメーターA、α、B、βを求めると次のようになります。

A = 0.0220177  α = 7.10388  B = 2.77343  β = 0.296298

これらの値を初期値としてガウス・ニュートン法でパラメーターを求めると、80回以上の反復計算の結果、次のような値に収束します。

推定値:A = 0.840851  α = 4.75608  B = 4.08067  β = 0.181834
標準誤差:A = 0.141177  α = 0.948894  B = 2.31814  β = 0.1521

これらのパラメーターの値を用いてk21、ke、k21を計算することができます。 そしてそれらの値を用いて他のパラメーターの値も計算することができます。